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【スカイツリー成長記】

未知の高さ アンテナ設置工事 実物大で稽古 改良重ね

房総半島を望む朝焼けにシルエットとなり浮かび上がる東京スカイツリー=5日、東京都台東区上空で、本社ヘリ「おおづる」から

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 東京スカイツリーの塔内部から上空へ伸びる「ゲイン塔」には、地上デジタル放送の送信アンテナが、びっしりと巻き付いている。アンテナの設置は、高さ五百メートル付近、建設工事としては国内史上最も高い場所で進む。担当する日立電線の中谷渉さん(48)は「未知の高さの工事で、失敗は許されない。工事リハーサルなどの事前準備を入念に重ねて臨んでいます」と話す。

 リハーサルは昨年四月、アンテナを製造した茨城県の同社高砂工場で始まった。敷地内に、ゲイン塔と同じ構造をした高さ約十メートルの鉄柱を建設した。実物のアンテナと同じ大きさ、重さの試作品を使い、実際に現場へ入るとび職人らを呼んで、作業方法を練り上げた。

 アンテナは、ゲイン塔一周分を六つに分割して設置する。一つは二・五トン。クレーンでつり上げ、とび職人がボルトで固定する。

 リハーサル中のある日、アンテナが風を受け、たこのように揺れた。「本番では早めに固定する必要がある」。そこで改良を加えた。ゲイン塔に縦方向のレールを付け、アンテナの裏側に出っ張りを追加した。ボルト締めの前に、双方をかみ合わせれば、安定できる。

 アンテナ製造でも、ゲイン塔とぴったり固定できるよう、準備を怠らなかった。「スカイツリー内部のゲイン塔組み立て現場に入り、塔側のボルト穴の大きさを一つずつすべて測って、それに合わせてアンテナ側の穴を開けました」

 数ミリの差も見逃さない。入念に造り込まれたアンテナの強度は、風速一一〇メートルにも耐える。

 工事日には、中谷さんは現場に上がって進行管理に当たる。「最近は現場の気温が氷点下で体はつらいですが、無我夢中なので一日がとんでもない速さで過ぎていきます」。電波塔の心臓部を造る重責を負い、集中を高めてこれまでの準備を結実させていく。

図を描いて説明する地デジアンテナ製造設置担当の日立電線・中谷渉東京スカイツリープロジェクト室室長=東京都千代田区で

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<工事メモ>頂点で配線 さらに難関

 アンテナの設置工事よりもさらに高く、まさに世界一の場所での作業となるのが、設置されたアンテナの配線工事だ。

 今春、完成時の高さ六百三十四メートルに到達してから実施する。内部には、傾斜七〇度という険しい階段があり、それを百二十メートルほど上って、スカイツリーの頂点付近で作業する。配線を担当する作業員は、勇気と体力を求められそうだ。

 文・小野沢健太/写真・笠原和則、圷真一

 

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