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【北関東 面白スポット】

国内唯一の展示施設 わくわく自販機ミュージアム(群馬県前橋市)

レトロな自販機が並ぶ館内

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 すぐ目に留まるのは、入り口近くに鎮座する高さ六十五センチの円筒形の物体。聖水を販売する世界最古の自動販売機のレプリカ(複製)で、紀元前二一五年ごろ、エジプトの寺院にあったという。てんびんの片方に載せた硬貨の重みで、内部にあるもう片方の受け皿が傾いて弁が開き、中の聖水が蛇口から出てくる仕掛け。聖なる水なら、お坊さんに直接掛けてもらった方が御利益がありそうな気もするが、なぜ自販機に…。

 「自動で聖水が出てきたら、当時の人にとっては驚き。魔法のように感じたのかも」と、館内を案内する鳥井肇さん(58)。この自販機、二千年以上前の科学者の著書に挿絵付きで紹介されているが、わざわざ自販機にした理由は書かれていないという。鳥井さんは「想像するのも楽しいでしょう」と笑う。

 レトロなものから最新型まで自販機十六台を展示する前橋市の「わくわく自販機ミュージアム」。日本自動販売機工業会(東京)が二〇一二年四月に開館した。きっかけは、前年の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故だ。世間で節電意識が高まる中、二十四時間稼働する自販機は、一部から「電気の無駄遣い」とやり玉に挙がった。

 工業会の黒崎貴専務理事(66)は「実際は、震災前から業界一丸となって節電に励んでいた」と強調する。例えば、缶・ボトル飲料自販機。一台当たりの消費電力量は、一九九一年から二十年間で七割超の削減に成功した。センサー感知による照明の自動点灯と消灯。商品の冷却・保温は売れ筋商品を優先させる内蔵コンピューターで管理するシステムだ。館内では、これら省エネ技術も紹介する。

 国内に普及している自販機は約五百万台で、工業会によると、米国に次ぐ世界二位。商品の年間売り上げ約五兆円は世界トップで、日本は「自販機王国」という。七〇年代には世界で初めて、自販機一台でホットとコールドの飲料を提供した。「消費者の厳しい要求と、それに応える日本の技術が普及を後押ししてきた」と黒崎専務理事は語る。

 レトロな自販機に大人は「懐かしい」と喜び、子どもは自販機の仕組みに好奇心を刺激される。自販機に焦点を当てた国内唯一の施設で、鳥井さんは「自販機を身近に感じてもらい、『あってほしい』から『なくてはならない』存在になれたら」と話した。(川田篤志)

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◆レトロから最新、16台

 前橋市粕川町中之沢7の「サンデンフォレスト」内にある。1960年代にヒットした「噴水型ジュース自販機」など計16台とパネル展示で、自販機の歴史や省エネ技術を紹介する。見学は、日本自動販売機工業会のホームページから事前申し込みが必要。開館は午前9時半〜午後4時。入場無料。休館は日、月曜日。

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 新緑がまぶしく、風薫る季節がやってきた。北関東自動車道で結ばれる群馬、栃木、茨城の三県には、知る人ぞ知るゆる〜い展示施設や、ユニークな観光地がたくさんある。「面白スポット」を記者が訪ねた。

 

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