自民大勝の内訳

289区はどう動いたか

 22日に投票された第48回衆院選で、自民党は国会運営を主導できる絶対安定多数(261)に単独で達し、大勝した。希望の党は不振で、公示前の57議席から50議席に議席を減らした。立憲民主党は55議席で、公示前の16議席から3倍以上に躍進し、野党第一党に躍り出た。共産党、日本維新の会は低調だった。市区町村レベルの開票データを使い、その内訳を探ってみよう。

自民にも地域差

 固有の事情に大きく左右される選挙区選挙ではなく、比例代表の得票率を前回と比較してみよう。

 公示前の290議席からは減ったとはいえ、281議席を獲得した自民の得票率は、近畿のほぼ全域で上昇し、北海道、関東、北陸、山陰で減少した。近畿の伸び幅はちょうど維新の減少分に相当する。

 得票率は、自民が圧勝した2014年に高かった選挙区のほとんどで落ち込み、低かった選挙区で伸びている。単なる「平均への回帰」なのか、政治的なテコ入れの結果としての均質化なのか、データからは分からない。(右下のメニューで2014年を選ぶと、2014年の得票率順で並べ替えて表示されます)

 それならば、自民はどの程度正確に選挙情勢を把握しているのか。

情勢を正確に把握

 「予断を与える」として報道機関の情勢調査を批判する自民党は、奇妙なことに、運動期間の半ばの17日に49選挙区を「重点区」に指定し、公表した。だが、本当に注目している選挙区は、安倍総裁や小泉進次郎筆頭副幹事長の遊説先を見れば、自ずと明らかになる。

 以下のグラフは、選挙区の開票データから自民候補の当選マージンを計算したものだ。当選マージンは、当選した場合には次点(二位)候補との得票比率、落選した場合には当選候補との得票比率(比例代表の復活当選を決める指標と同じ)だ。707%の神奈川11区では、自民候補(小泉進次郎氏)は次点候補の7倍の票を集めたことになる。

 当選マージンと安倍・小泉両氏の遊説先を比べてみよう。接戦の選挙区を正確に把握し、貴重な資源である「党の顔」を応援に送り込んでいることが分かる。

 接戦であっても、地理的に他選挙区と同じ日に回りにくい能登半島の石川3区、自民が分裂状態の山梨2区に隣接する山梨1区などは遊説先から外している。その戦略は精密そのものだ。

「票面積」を可視化する

 有権者カルトグラムは、面積が有権者数を表すように地図を連続的に変形させた統計地図。民意を視覚的に表すために欧米の報道でもよく用いられる手法だ。「一票の価値」が等しくなった場合の日本の姿でもある。

 カルトグラムで見ると、野党第一党に躍り出た立憲民主が首都圏と東海地方で票を集めたことがわかる。都知事主導の希望が、非首都圏で支持を集めたことは意外な結果だ。全ブロックで比例に届け出た維新も、データ的には「巨大なローカル政党」になった。(右下のメニューで政党別の得票率などが選択できます)

 なお、前回分のデータは、自治体の区割りが変更されるなど、直接の比較ができない場合、直近の有権者数で按分するなどして推定した。

 カルトグラムの作成には、東北大学大学院情報科学研究科の井上亮准教授と東京大学大学院工学系研究科の清水英範教授の共同研究の成果を利用した。

 2017/10/23 中日新聞電子編集部、写真は東京新聞写真部撮影