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【いま読む日本国憲法】

(23)第29条 財産権 制約の場合も

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 大切な人権の一つで、資本主義の基本ともいえる私有財産制を保障した条文です。財産権には、土地やモノの所有権だけでなく、債権や著作権、特許権なども含まれます。

 二九条は三項に分かれています。一項で「侵してはならない」と無条件で財産権を認めているのに、二項と三項では「公共の福祉」と衝突したときに財産権を制限する可能性を示しているのは、一見、矛盾しているようにも見えます。

 実は二項と三項は、生活に必要な道路や空港の建設など、国民全体の幸福のために個人の土地を収用することがある、ということを示しています。財産権を侵される側に対しては、当然、国などが補償することになります。

 過去の国会での憲法論議でも、財産権の制限をもっとはっきり書くべきだという意見も出ました。

 自民党の改憲草案は、一項の「侵してはならない」という表現を「保障する」に改めました。個人の財産権を積極的に認めた現行憲法の表現から、後退しているようにも見えます。

 改憲草案では、二項の「公共の福祉」も「公益及び公の秩序」に置き換えました。一二条や一三条と同様の修正ですが、国家が「公益・公序のため」という理由をつけて、個人の財産権に立ち入ることにならないか懸念されます。

 草案は、二項に「知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない」という文言も書き加えています。草案のQ&Aは「特許権等の保護が過剰になり、かえって経済活動の過度の妨げにならないよう配慮する」と説明。知的財産権が生み出す個人の利益より、社会全体の利益が優先されることがある、との考え方が表れています。

◆自民党改憲草案の関連表記

 財産権は、保障する。

 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない。

 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。

 

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