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【いま読む日本国憲法】

(特別編)平和の要 9条正念場 自民 改憲目指す

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 ノーベル平和賞は「憲法九条を保持している日本国民」が三年連続で候補になったが、受賞に至らなかった。九条を世界に発信する取り組みは今後も続く見通しだ。しかし、国会は改憲勢力が衆参両院で改憲発議可能な議席を占め、九条改憲を訴える議員も少なくない。憲法の条文を解説する連載の特別編として、平和憲法の中核でありながら、逆風を受ける九条の現状に視線を当てた。

 先の大戦への反省に立つ九条は一項で戦争放棄、二項で戦力不保持と交戦権の否認を定めている。一九四七年の施行以来、ほかの条文と同様に一文字も変わっていない。

 一方、政府は自衛隊の活動範囲の拡大や武器使用基準の緩和を繰り返し、九条を逸脱していると批判されてきた。特に安倍政権は、歴代内閣の憲法解釈を変更し、他国を武力で守る集団的自衛権の行使を容認。それを柱とした安全保障関連法を成立させた。密接な関係にある他国への武力攻撃により、日本の存立が脅かされる事態では行使しても九条の範囲内という理屈だが、多くの憲法学者は違憲と指摘している。

 そして今、多数派となった改憲勢力は条文自体の見直しを目指している。

 自民党が二〇一二年に発表した改憲草案は戦争放棄に「自衛権の発動を妨げない」とただし書きをつけ、集団的自衛権を認める内容。戦力不保持と交戦権の否認は削り国防軍を保持するとし、国防に限らず「国際社会の平和と安全」の確保や「公の秩序」維持のための活動もできるとした。

 安倍晋三首相自身、九条改憲が必要との考えを国会答弁などで明言。党憲法改正推進本部のメンバーは「原点は変わっていない」と強調しており、最終的に九条改憲を目指す立場に変わりはない。衆参両院の憲法審査会は、月内にも議論が再開される見通し。

 しかし、九条改憲には国民の不安が依然強く、現段階では時期尚早という見方が改憲勢力の大勢。自民党の閣僚経験者は「せっかくの憲法改正が頓挫したら困る。九条からはやれない」と話す。公明党や、統治機構改革での改憲を目指す日本維新の会も前向きではない。

 このため第一段階として国民の理解を得やすい項目を中心に改憲の議論が進む流れ。具体的には、環境権や知る権利などの「新しい人権」、災害や武力攻撃時に備えた緊急事態条項の新設など。改憲の「実績」をつくった上で九条改憲を目指すのが、多くの改憲勢力の戦略だ。

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