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【いま読む日本国憲法】

(50)第83条 財政、国会が決める

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 国の「財政」について、憲法は一つの章(八三条〜九一条)を設けています。八三条は、国が税金を国民に課したり、その税金を使ったり、借金をしたりする「財政の処理」は、国会で決められなければならないという原則(財政立憲主義)を定めています。

 旧憲法下では、国会に予算の決定権はなく、政府の判断で決められた結果、戦時中に軍事費調達のために国債が乱発され、財政破綻につながりました。その反省が、八三条に込められています。国民が選んだ国会議員に任せれば、財政を適切に運営してくれると期待しているわけです。

 ところが今、国の財政は厳しい状況にあります。財務省によると、二〇一六年度末の国債や借入金、政府短期証券を合計した「国の借金」は一千七十一兆円超。国民一人あたり約八百四十五万円の借金を背負っている計算です。憲法の精神に沿って、適切に財政を処理してきたとは言えません。

 自民党の改憲草案は、八三条に二項を新設し「財政の健全性は確保されなければならない」と明記しました。草案Q&Aは「財政の健全性を初めて憲法上の価値として規定した」と解説しています。

 ただ、憲法に書いたから財政が健全になるわけではありません。憲法論議では「これまでの政権の財政運営を省みないもので、無責任」との批判も出ました。

 また、草案は、新設した緊急事態条項で、緊急事態宣言を発した場合に首相が「財政上必要な支出その他の処分」をできるとしました。これについても「財政立憲主義を損ない、戦争のための財政執行をする権限を与えかねない」との懸念が指摘されています。

     ◇

 憲法の主な条文の解説を随時掲載しています。

◆自民党改憲草案の関連表記

(1)国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて行使しなければならない。

(2)財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない。

 

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