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【御料牧場の四季 皇室の農を探る】

[第1回](上)育ちゆく若駒 歌会始に由来 優雅な名

栃木県中央部の丘陵地にある御料牧場。中央の建物群が「農産地区そ菜ほ場」。その奥にあるのが乳牛舎=本社ヘリ「まなづる」から(安江実撮影)

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 青々とした牧草地で、母馬と一緒に駆け回る子馬たち。やがては皇室の方々を背に乗せたり、外国大使の信任状捧呈(ほうてい)式で馬車を引いたりする大役を担う。今年は例年より多い七頭が生まれた。漢字二文字と決まっているその名の付け方は「皇室の牧場」ならではだ。

 最初の文字は、皇居・宮殿で開かれる新春恒例の「歌会始の儀」のその年のお題や歌の中の漢字を使う。今年は天皇陛下が那須御用邸(栃木県)で虫の鳴き声を聞いた思い出を詠まれた歌「邯鄲(かんたん)の鳴く音(ね)聞かむと那須の野に集(つど)ひし夜(よる)をなつかしみ思ふ」から、「鳴」を選んだ。

 二文字目は母の名の二文字目をもらう。「光勇(ミツイサム)」から生まれた雄は「鳴勇(メイイサム)」、「イケノセブマイン」から生まれた雄は「マイン」を漢字の「舞」に置き換えて「鳴舞(メイマイ)」と名付けられた。生まれた年と母がすぐに分かるこの命名法は、少なくとも牧場が現在地に移った一九六九年から受け継がれている。

 春に生まれた子馬は十月まで母馬と一緒に過ごす。すくすくと育っており、獣医師で畜産課長の三井純さん(58)は「けがも病気もなく元気」とほほ笑む。

 乳離れして一歳の秋を迎えると初期調教が始まる。二、三歳の秋に本格的な調教を受けるため、皇居に運ばれる。毎年二月に宮内庁の担当者が「補充馬検査」で来場し、歩く姿や気性を見定めて「合格」の馬を選ぶ。飼育担当者にとって成果が試される時だ。

今春生まれた子馬の「鳴舞」(右)。放牧のときは母馬の「イケノセブマイン」と一緒だ=宮内庁御料牧場で(市川和宏撮影)

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ご結婚を控えた紀宮さま(黒田清子さん)と御料牧場を訪れ、作物を見る天皇、皇后両陛下=2005年3月

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<御料牧場> 1875(明治8)年、旧内務省が千葉県内に設けた「下総(しもうさ)牧羊場及び取香(とっこう)種畜場」が始まり。成田国際空港の建設に伴い、1969年に栃木県高根沢町と芳賀町にまたがる現在の場所に移転した。標高145メートルにあり、面積は約252ヘクタール。広大な牧草地の中に乳牛舎、豚舎、羊舎などが点在する。皇室の方々が滞在するほか、在日外交団の接遇の場としても活用されている。

 

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