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【御料牧場の四季 皇室の農を探る】

[第2回](中)極上のヒツジ 晩さん 賓客もてなす

晩秋の牧場を歩くヒツジの群れ。たっぷりの乾牧草を食べ育つ=栃木県高根沢町の御料牧場で

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 丘陵地の草原をモコモコした毛に覆われたヒツジたちが駆けていく。御料牧場に約四百頭いるヒツジは、宮中のテーブルで重要な役割を担っている。

 宗教上の理由で食べられないなどの制限が最も少ない肉とされ、晩さん会や国内外の賓客をもてなす皇室行事のメインディッシュとなっているからだ。

 国産ウール生産のため、一八七五(明治八)年に内務卿の大久保利通の発案で千葉県・三里塚に牧羊場を設けたのが御料牧場の始まりだ。栃木県に移転した一九六九年からは、肉質の良いサフォーク種に特化して育てている。

 先月二十七日、ルクセンブルクのアンリ大公を招いた宮中晩さん会で「羊腿肉蒸焼(ひつじももにくむしやき)」が供された。今年四月のスペイン国王夫妻、昨年十月のベルギー国王夫妻を招いた両晩さん会でもメインディッシュとなった定番メニューだ。

 赤坂御苑であった先月九日の秋の園遊会では、宮内庁大膳課で料理を担当する主厨(しゅちゅう)らが、牧場で育てられたヒツジの肉でジンギスカンを提供した。焼き上がったモモやロースにかけるソースは「昭和天皇の料理番」として知られる、初代主厨長、秋山徳蔵氏が考案したレシピ。しょうゆ、日本酒、リンゴや香辛料など約三十種を加え約三年間熟成させたものだ。

 「フランスでは、モンサンミシェル周辺の海水を含んだ牧草を食べたヒツジが最上とされるが、御料牧場のヒツジの肉も誇れる品質」と鈴木稔場長は胸を張る。

 厳しい冬を前に、ヒツジたちは乾牧草を一心不乱に食べ続ける。来年二月には約二百頭が出産予定だ。鈴木場長は牧場運営の哲学をこう明かす。「生きとし生けるものを育て、いただいている。その感謝の念を忘れない」

 

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