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【御料牧場の四季 皇室の農を探る】

[第4回](中)牧草の刈り取り 「安全」何より大切

乾燥させた牧草をロール状にしていく収穫作業。牧場で飼育されている牛などの餌となる=栃木県高根沢町の御料牧場で

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 太陽の光をたっぷり吸い込んだ牧草が、大人の腰ほどの高さに成長した。青々とした広大な牧草地を、大型トラクターが周遊するように規則的に進む。刈り取った牧草がロール状にされ、ラップフィルムで梱包(こんぽう)される。御料牧場では、牧草の刈り取り作業が最盛期を迎えている。

 牧場の総面積は約二百五十ヘクタール。このうち、牧草を育てる採草地は約六十ヘクタールを占める。乳牛約三十頭、馬約四十頭、約五百匹の羊の餌をこの採草地で賄う。日本茶の一番茶が二番茶や三番茶より香り高いように、牧草も「一番草」が最も栄養価が高い。

 刈り取った牧草を梱包するのは、空気を遮断し、乳酸発酵させることで、栄養価を高め、長期保存を可能にするためだ。牧場のシンボル的存在のサイロと同じ役割を持つ。

 一番草の刈り取りは六月まで、二番草は八月、三番草は十月までだ。刈り取り直後の牧草に含まれる水分が50〜60%に減るまで乾かした草(ヘイレージ)は約四十五万キロ、15%以下まで乾かした草(乾牧草)は約二十七万キロ収穫される。

 二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故直後、牧場では給餌が懸念された。放射性物質による汚染が心配されたため同年五月から刈り取られた一番草は廃棄処分。検査で安全が確認された二番草から収穫した。表面の土を下の土と入れ替える作業も行った。

 農産課の鈴木一之課長(58)は「生産品は皇室に届けられるだけでなく、園遊会でも提供され、外国の大使の方が召し上がる機会もある。安全確保に万全を期したい」と口元を引き締めた。

 

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