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【背信の根 検証・森友問題】

(1)売却額非公表「怪しい」 パンフには首相夫人 市議、執念の追及

昭恵氏のあいさつが掲載された学校案内パンフレットと児童募集ハガキの写し

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 疑惑の端緒をつかんだのは一人の地元市議だった。「右翼の学校を豊中につくらせてたまるかと思った」。大阪府豊中市の事務所で、木村真市議(53)はそう振り返った。

 木村さんが森友学園の小学校建設計画を知ったのは二〇一六年五月。予定地に「瑞穂の國(くに)記念小學院」と旧字体の学校名が書かれた幕が張ってあった。児童募集のポスターには靖国神社の鳥居の写真と教育勅語があしらわれていた。

 校長は学園理事長だった籠池(かごいけ)泰典被告(65)=詐欺罪などで起訴。根っからの保守を自負し、安倍晋三首相(63)の熱心な支持者だった。かつては改憲を掲げる保守系団体「日本会議」に所属。学園が運営する幼稚園では、日本の歴史と伝統文化を重んじるという方針の下、子供に戦前の教育勅語の素読を行わせていた。

 子供を通わせていた三十代の主婦は「しつけは厳しいという域を超えて軍隊的。朝、教育勅語と五箇条の御誓文を暗唱させる。テストもあり、うちの子は家で泣きながら練習していた」と話した。中国や韓国を蔑視する発言もあったといい、「子供が『中国人って悪い人でしょ』と言い出した時はびっくりした」。

 籠池被告は以前から「幼稚園でせっかく身に付けたことが小学校でつぶされてしまう」と不満を持ち、それが自前の小学校開設の動機となったという。

 学校案内パンフレットで目を引いたのは名誉校長として安倍首相の妻昭恵氏(56)が登場していたことだった。「籠池先生の教育に対する熱き想(おも)いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきました」。笑顔の写真とあいさつを寄せていた。

 木村さんは建設予定地も調べた。所有者が国土交通省だったからだが、情報公開請求しても売却額は黒塗りだった。近畿財務局が過去三年間に公共随意契約で売却した国有地の中で、金額が非公表なのはこの一件だけだった。

 「ますます怪しい。市民と連携して追及しよう」と木村さんは三万枚のビラを各戸に配り、各報道機関にも情報提供。一七年二月、売却額の公開を求めて大阪地裁に提訴した。財務局がごみの撤去費約八億二千万円を値引きし、格安で土地を学園に売却したことが報道で明らかになり、国会でも追及が始まった。

 提訴から九日後の衆院予算委員会。安倍首相が野党の追及に気色ばんで放った一言が財務省の幹部らを慌てさせた。「私や妻が関係していれば、総理大臣も国会議員も辞める」

 答弁を受け、当時の中村稔理財局総務課長が本省の担当室長や近畿財務局の部長に確認させると、決裁文書や学園との交渉記録の中に昭恵氏や政治家秘書が登場していた。佐川宣寿(のぶひさ)理財局長(60)に報告したところ、「そうした文書を外に出すべきでない」。現場は「書き直す必要がある」と受けとめた。

 決裁文書の改ざんが本格的に始まったのは二月二十六日、日曜日。理財局は近畿財務局の職員らも呼び出した。首相発言からわずか九日後のことだった。

(2018年7月4日)

 

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