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【背信の根 検証・森友問題】

(3)ニワトリとタマゴ同時に 開設認可 財務局のお墨付き決め手

鴻池議員の地元事務所が作成した「陳情整理報告書」のコピー

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 「ニワトリとタマゴの話。何とかしてや」。鴻池祥肇(こうのいけよしただ)参院議員の神戸事務所が作成した森友学園に関する「陳情整理報告書」。目を引くのは前理事長の籠池(かごいけ)泰典被告(65)のセリフだ。

 私立の小学校新設には大阪府の認可が必要で、建設用地を確保していることが前提となる。籠池被告は国有地の上に小学校建設をもくろんだが、財務省近畿財務局は、設置認可の見通しがなければ国有地は貸せないという立場だった。籠池被告は「ニワトリが先か、タマゴが先か」という袋小路にはまり込んでいた。

 籠池被告は二〇一三年八月以降、鴻池事務所と頻繁に連絡を取り、国有地をしばらく借りた後で購入したいなどと相談。秘書が財務局の担当者から「前向きにやっていく」との回答を得ていた。だが財務局は翌一四年四月、「(学校の設置を認める)答申を得る前の契約はできない」と断った。

 約二週間後、籠池被告は財務局との協議の席で、担当者らに一枚の写真を見せた。国有地の前で安倍晋三首相(63)の妻昭恵氏(56)と並んで写っていた。「昭恵氏から『いい土地ですから前に進めてください』と言われた」と強調してみせた。約一カ月後、財務局は「売り払いを前提とした貸し付けには協力させていただく」と協力姿勢に転じた。

 学園は間もなく小学校の設置認可を府に申請したが、府の私立学校審議会では学園の財務状況に対する懸念が続出。「思想教育のような部分がある」と教育内容を不安視する声も上がった。結論は保留となり、翌一五年一月の臨時会に持ち越された。臨時会の開催は過去に例がなかったが、財務局が府に、開催できるかどうかの判断を急ぐよう求めていたことが交渉記録に記されていた。

 臨時会でも資金面について「こんな絵空事でうまくいくとはとても思えない」との声が上がったが、寄付金の受け入れや入学志願者の出願状況などの進捗(しんちょく)を報告することを条件に「認可適当」の答申を出した。

 私学審の梶田叡一会長(77)は「形式的には近畿財務局の契約は後だけど、われわれは財務局のお墨付きがあるので、森友学園は土地を借りられると思った」と振り返る。財務局の協力姿勢が決め手となった。

 答申から約二週間後の二月十日、私学審と歩調を合わせるように国有財産近畿地方審議会が開かれた。事務局から各委員に「(私学審で)認可適当の答申がなされている」と説明があり、国有地の賃貸は「処理適当」と判断された。

 審議会の中野健二郎元会長(70)は「森友学園のことを知っている委員はおらず、安倍昭恵さんが名誉校長だという話も知らなかった。売り払いを前提とした貸し付け契約には違和感を持ったが…」と話した。

 府議会で一連の問題を追及してきた宮原威(たけし)大阪府議(71)は「そもそも出来レースだった」との疑念が消えない。売却が前提の国有地の貸し付けは、財務省としては異例の契約。政治家や昭恵氏といった後ろ盾を巧みに利用しながら、籠池被告はタマゴとニワトリをいっぺんに手に入れた。

(2018年7月5日)

 

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