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【権力の内幕 検証・加計疑惑】

第1部(5)「首相と面談」後、一変 「何とか実現」秘書官動く

2015年4月2日に加計学園幹部らが柳瀬首相秘書官と面会した首相官邸。これを機に獣医学部開設の動きが加速する

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 加計(かけ)学園が愛媛県今治市に獣医学部を開学する三年余り前のこと。学園幹部らは焦りを募らせていた。

 二〇一五年二月十二日、学園と県、市の幹部が一堂に会した。学園幹部が学部新設の進捗(しんちょく)を報告したが、状況は芳しくなかった。

 「下村文部科学大臣が一歩引いたスタンスに変化している」。幹部はその理由に、自民党獣医師問題議員連盟会長で副総理の麻生太郎(77)の存在を挙げた。新設に反対する獣医師会に近い麻生への配慮から、文科相の下村博文(64)が後退しているという危機感だった。

 一連の協議内容を記した県の文書からは、学園の戦略が浮かび上がる。学園側は理事長の加計孝太郎(67)と首相の安倍晋三(63)の面会に期待をかけたが、なかなか実現しなかった。

 そこで「官邸への働きかけを進めるため」として学園の本拠がある地元・岡山選出の官房副長官加藤勝信(62)に会ったものの、「日本獣医師会の強力な反対運動がある」「既存大学の反発も大きく、文科大臣の対応にも影響」と後ろ向きな話ばかり聞かされた。

 すでに新潟市が国家戦略特区で獣医学部の設置を申請しており、新潟に決まるかもしれないという心配もあった。だが、その後、潮目が大きく変わる。

 「理事長と安倍首相が面談したので報告したい」。学園から連絡を受け、県は三月三日に打ち合わせをした。その際、学園幹部から「二月二十五日に理事長が首相と十五分程度面談し、首相からは『そういう新しい獣医大学の考えはいいね』とのコメントがあった」という報告があった−県文書にはそう記されてある。

 二人は面談を否定しているが、潮目が確実に変わったことを示す事実がある。首相秘書官の柳瀬唯夫(57)が学部実現に向け、動き始めたのだった。

 四月二日、首相官邸小会議室。学園や県、市の幹部ら六人が長いテーブルに横一列で並んだ。自治体の課長が官邸を訪れるのは異例中の異例であり、遅れて現れた柳瀬はまくし立てた。

 「本件は首相案件となっており、何とか実現したい」。もし安倍と加計の面談がなければ、柳瀬がなぜ精力的に動いたのか疑問が生じる。首相と秘書官は「一心同体の間柄」(秘書官経験者)だからだ。

 これを機に停滞していた計画が動きだした。県関係者が述懐する。「官邸に呼ばれたことで、国にオーソライズ(公認)されたと受け止めた。それまでなかった流れが生まれた」(敬称略、肩書は当時)

(2018年8月14日)

 

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