東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > 権力の内幕 検証・加計疑惑 > 記事

ここから本文

【権力の内幕 検証・加計疑惑】

第1部(6)官邸を後ろ盾に権勢 秘策を伝授 特区のプロ

国家戦略特区を取り仕切っていた藤原豊次長(当時)。愛媛県文書には藤原氏から「国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい」と県や今治市に持ちかけたと記録されている=昨年6月、国会で

写真

 長年実現してこなかった加計(かけ)学園の獣医学部を開設するため、首相秘書官の柳瀬唯夫(57)らが推し進めた秘策、それが国家戦略特区だった。

 国家戦略特区は首相の安倍晋三(63)が二〇一三年に創設した肝いりの政策だ。「自らドリルになって岩盤規制に穴を開ける」。規制緩和による成長戦略をうたう安倍は、幾度となくこのフレーズを口にしてきた。

 小泉純一郎政権のときにできた従来の特区制度は、自治体などの提案の可否を規制官庁が判断するため、思うような成果が出なかった。そこで、国家戦略特区では、規制官庁を意思決定から排除することにした。

 規制緩和に積極的な有識者が提案された特区内容を審査。首相をトップとし、経済財政担当相などを務めた規制改革論者の竹中平蔵(67)らが名を連ねる「諮問会議」で認定する。同じ特区でも、規制に対する突破力は比べものにならない。

 その国家戦略特区を取り仕切っていたのが、内閣府地方創生推進室次長の藤原豊(55)だった。柳瀬と同じ経済産業省出身。構造改革特区の創設にかかわった特区の第一人者で、国家戦略特区でも、手腕をかわれて内閣府に呼び戻された。

 省庁の役職でいえば局長と課長の間だったが、内閣府関係者は「総理や官邸を後ろ盾に権勢を振るっていた」と言う。藤原周辺からは「上司の頭越しに官邸から指示が来た」「特区について官邸に説明に行くのは藤原さん」「総理が出席する特区諮問会議の原稿も書いていた」といった実力者ぶりが聞こえてくる。

 内閣府のある職員は「強引なやり方に反発もあったが、上司も他省庁も何も言えなかった」と明かす。「藤原さんの意向は官邸の意向」。それが内閣府内での共通認識となっていた。

 一五年四月二日、藤原は内閣府で学園や愛媛県、今治市の幹部らと面会し、「国家戦略特区を使って突破口を開きたい」と伝えた様子が県の内部文書に記されている。

 「既存の獣医学部とは異なる特徴を」「ペット獣医師を増やさないような卒業後の見通しをしっかり書き込んでほしい」と指示するなど、藤原のアドバイスはかなり具体的だ。まるで試験官が受験生に答えを教えるようなもの。内閣府の職員は「申請者に提案内容を細かく指示することはありえない」と証言する。

 事情に詳しい政府関係者が批判する。「加計ありきのストーリーを書いたのは官邸。官邸主導で特区の手続きがゆがめられた」(敬称略、肩書は当時)

(2018年8月14日)

 

この記事を印刷する

PR情報