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【権力の内幕 検証・加計疑惑】

第1部(7)選定迫り消えた主役 学園の痕跡 議事から隠す

2017年8月、加計学園の出席者名や発言を特区WGの議事要旨に記載していなかったことが発覚し、記者会見で経緯を説明する八田達夫WG座長=東京都千代田区で

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 二〇一五年六月、愛媛県今治市に国家戦略特区を活用して獣医学部をつくりたいという申請が内閣府に出された。申請者に名を連ねたのは県と市だけで、加計(かけ)学園の名前はなかった。

 学園の幹部が県や市の担当者と一緒に首相秘書官の柳瀬唯夫(57)に面会したのは申請のわずか二カ月前。「官邸に県や市を連れてきたのは学園側。学部開設は加計学園が主導した」と政府関係者が言うように、そこまでの主役は学園だった。だが、計画が公の特区選定作業に入った途端、主役の存在は消えていた。

 国家戦略特区選定の第一段階として、申請者は特区ワーキンググループ(WG)のヒアリングを受ける。規制改革派の民間有識者で固めたWG委員のヒアリングは、認定を左右する重要な選定手続きだ。

 県と市が作成した獣医学部特区案に対するヒアリングは、申請翌日という異例の早さで実施された。東京・永田町の合同庁舎七階の会議室。長机を挟んで委員と向かい合った申請者の席には、県や市の担当者と並んで学園の幹部三人が座った。

 「獣医学部設置の相談を(県や市から)受けている。今治市には(学園傘下の)岡山理科大学獣医学部を設置したい」。そう発言したのは学園相談役の田丸憲二(70)だった。

 ところが、内閣府が公表したヒアリングの議事要旨には、田丸の発言はおろか学園の三人の出席者の名前すら載っていない。

 昨年八月、この「加計隠し」が発覚すると、WG座長で大阪大名誉教授の八田達夫(75)は「学園は説明補助者。公式な発言とは認めていない」と抗弁した。

 ヒアリングに同席した内閣府幹部はいずれも「説明補助者」という言葉を聞いたことも使ったこともないという。幹部の一人は「走りながら決めるような状況で、ルールもはっきりしなかった」と証言する。

 別の内閣府職員は特区を仕切っていた地方創生推進室次長の藤原豊(55)の秘密主義ぶりを批判する。「主に動くのは直属の部下。周りへの指示は細切れで、組織全体に情報が伝わるのを避けていた」と明かす。

 首相のトップダウンで規制の突破を狙う国家戦略特区。強権ゆえに権力の私物化を招く危険性をはらむ。首相の安倍晋三(63)が友人に便宜を図ったのではないか−学部開設を巡る疑惑で指摘されるのもその点だ。

 「すべてオープンになっている。一点の曇りもない」。安倍はそう強調するが、関係者の証言からは特区選定過程の不透明な内幕が浮かび上がる。 =おわり

 (敬称略、肩書は当時。この連載は、中沢誠、池田悌一、池内琢、井上靖史、中野祐紀、伊藤隆平、小坂亮太が担当しました)

(2018年8月14日)

 

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