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【権力の内幕 検証・加計疑惑】

第2部(6)設置審も認可ありき 文科省「4条件議論しないで」

2017年11月、加計学園の獣医学部新設を「可」とした設置審専門委の最後の会合が開かれたビル。専門委の会合は非公開で、マスコミを避けるため都内の会場を転々とした=東京都千代田区で

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 安倍政権が創設した国家戦略特区で、獣医学部開学という長年の夢を実現しようとしていた加計(かけ)学園理事長の加計孝太郎(67)。開学へ最後のハードルとなったのが文部科学省の「大学設置・学校法人審議会(設置審)」の審査だった。

 設置審は大学新設にあたり、大学教授らが教育内容や設備・経営を審査する。獣医学部を審査する専門委員会の委員の一人は、二〇一七年四月に文科省内で開かれた最初の会議のことが今でも記憶に残っている。

 世界に冠たる獣医学部とうたいながら、学園が出してきた計画は「既存の大学にすら及ばない未成熟な内容だった」。公務員獣医師の確保が目的なのに公衆衛生の教授がいない。日帰りで実習するのに片道四時間かかる。委員は「不備が多すぎて細かい点は目をつぶるしかなかった」と話す。

 五月に入り「加計疑惑」が表面化すると、設置審も「いいかげんなことはできない」と慎重姿勢に。直後の一次意見では、計画を抜本的に改善しなければ新設は認めないとする「警告」を出した。学園は一学年の定員を百四十人に減らすなどしたが、八月に再び注文が付き、最終判断は十一月にずれ込んだ。

 その間、首相の安倍晋三(63)は、野党が真相解明のために開会を求めた臨時国会の冒頭、衆院を解散。選挙は自公が圧勝し、疑惑追及の機運はしぼんだ。

 十一月二日、都心のビルの一室。「学園の改善は付け焼き刃だ」「もう仕方ない」。七回目を数えた専門委の会議でも意見は割れていた。特区による獣医学部の開設は一八年四月と期限が切られており、もう結論を先に延ばせない。議論は三時間に及んだ。座長から「意見がまとまらないなら、委員会を解散して新メンバーで審査し直しますか」と投げかけられると、委員は皆、押し黙った。

 結局、忸怩(じくじ)たる思いを抱えながら「開設は可」という結論を出した。ある委員は「与党が選挙で圧勝しなければ結論は違ったかもしれない」と振り返る。

 半月後、設置審の答申を受け、文科相の林芳正(57)は学部新設を認可した。委員の一人は「認可ありき。文科省から『(学部新設に必要な)四条件を満たしているかは議論しないで』と何度もくぎを刺された。初めから仕組まれた審査だと思った」と明かした。

 なんとか今年四月の開学にこぎ着けた加計学園。獣医学部長の吉川泰弘(71)は学園幹部にこう愚痴をこぼしたという。「さんざん設置審でいじめられたよ」

 ただ、これで疑惑の幕引きとはならなかった。(敬称略、肩書は当時)

(2018年8月14日)

 

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