東 京 出題の傾向と解説

 ■国語

 大問五題、小問二十五題で出題形式と出題傾向はほぼ例年と同じだが、例年に比べ表現の能力をみる問題が増え、内容も深まっている。思考力や想像力も総合的にみるものとなっている。

 大問1・2は、漢字の読み、書きの能力をみる問題で、常用漢字の「遵守」の読み、「マイキョ」の書きが比較的迷うだろうが、基本的な出題といえよう。漢字の学習では普段から教科書や本、新聞などを通して意味や用法を理解し、正しく用いる習慣を養うことが求められている。

 大問3は、文学的文章からの出題で、四歳の「私」の目と心を通して死期の近い祖父を見舞う父親の様子が描かれている。情景や登場人物の心情を正しく豊かに読み取る能力をみる問題だ。問2は四歳の「私」の驚きや緊張感を読み取り、適切に表現する能力をみる良問といえよう。

 大問4は、説明的文章からの出題で、文の意味、要旨を正しく読み取る能力が試されるとともに自分の考えを論理的に表現する能力をみる問題。問題文はこれまでの科学と比較してこれからの科学技術の今日的な課題について述べたもので、内容は難しい。ただ、最近話題の遺伝子工学などを例としており、中学生にも興味、関心を持って読めるだろう。二百字作文は例年出題されているが、人間、社会に対して考え、感想や意見を持つ姿勢が問われている。また八十字で説明する問題は目的に応じて表現する能力がより問われている。

 大問5は、古典を引用した文章で、語句や文章の内容理解をみる問題。中学生には親しみのある「徒然草」など現代語訳と併せて読ませながら、言語に関する基礎学力をみる質の高い問題だ。

 (江東区立第二大島中学校・泉 嘉穂子教諭)

 ■数学

 大問六題、小問二十題の出題で、出題形式ならびに出題傾向は例年通り。出題内容も数量、図形などに関する基礎的・基本的な事項についての知識・理解をみるものから、それらを組み合わせて数学的な見方・考え方や表現・処理に関する能力をみるものまで、バランスよく出題され、よく練られた良問が多い。

 大問1は、基礎的な知識・理解や表現・処理をみる。大問2は、平方根の性質についての理解をみるとともに、数や式について論理的に考察し、処理する能力をみる問題である。

 大問3は一次関数を題材とした。問1は、2点を通る直線の式を求める基本的な問題。問2は、座標平面上の3直線で囲まれた三角形の面積について、二次方程式を利用して考察する。

 大問4は、円や三角形の性質についての理解をみるとともに、図形について演繹(えんえき)的に考察し、推論の過程を適切に表現する能力をみる問題。問1は、二等辺三角形の性質や円周角の定理を利用する基本的な問題で、適切な補助線を引けるかどうかがポイント。問2の(1)は、接弦定理や二等辺三角形の性質、平行線であるための条件などの基本的な図形の性質や条件を組み合わせて、二つの三角形の相似を証明する。(2)は、(1)を基に三角形の辺の長さを求める基本的な問題。

 大問5は、立体の中にできる三角形の辺の長さや角の大きさに着目し、それらを直観的にとらえるとともに、演繹的に考察する能力をみる問題。問1は、点Pが点AやDと一致したときの、△PEFの形状をとらえることができるかどうかがポイント。問2は、三平方の定理の応用。

 大問6は、日常の場面における事象を数理的にとらえ、考察し、処理する能力をみるための問題。小問三題は独立したもの。問1は、連立方程式の基本的な応用問題。問2は、場合の数を求める基本的な問題。問3は、三平方の定理の応用だが、条件を提示する問題の文章が長いため、読み取るのに苦労する生徒もいたのではないだろうか。

 (江東区立深川第六中学校・鈴木 裕教諭)

 ■英語

 例年通り大問は五題だが、全体的には「聞く・書く」「読む・書く」という統合した力を試すという姿勢がより明確になっている。

 大問1のリスニングは【問題A】が対話文を聞く、【問題B】はラジオを聞くという実際の生活に近い設定にして、それぞれ特定の情報を聞き取る力を求めている。【A】は選択肢を選ぶいつも通りの出題形式だが、【B】は今年は解答を英語で書く形式となっていて、「聞く・書く」両方の力を要求している。

 大問2は例年通り実践的コミュニケーション能力と読解力が試される問題。場面に応じた適切な表現ができることが求められている。

 大問3・大問4はそれぞれ約三百八十語、約六百語からなる長文読解問題である。

 大問3は茶道のマナーから日本人の心について触れている対話文で、日本の文化理解がテーマになっている。昨年に比べ、今どきの生徒にとってはやや難解な内容かもしれないが、設問そのものは文と文、語と語のつながりが分かっていれば解ける。問7はいつも通り話の流れを読み取る力が問われている。

 大問4はスポーツを通して葛藤(かっとう)や嫉妬(しっと)を味わいながら友情を培う話で、子供が共感できる内容になっている。問1から問3までは例年と同じ前後の関係が分かれば解ける設問形式だが、問4は「なぜ」「何」を英語で書いて答える形式になって、「読む・書く」を要求しているのが例年と異なるところである。

 大問5の英作文は、社会的視点も問われた昨年と異なり、生徒にとって書きやすいテーマである。

 (墨田区立本所中学校・小寺 令子教諭)

 ■社会

 大問六題、小問二十題の出題で、昨年と同様の出題形式。大問1は地理、歴史、公民の三分野の基礎・基本的な事項についての知識理解をみる問題である。

 大問2は世界の四つの地域の食料生産を取り上げ、各地域の主食や農業生産の特色、気候の特色について、歴史的分野での学習成果も生かし、地図や統計などの資料を活用して答える問題となっている。

 大問3は日本地理の出題。人々の暮らしと樹木の利用を取り上げ、国立公園の特色、果樹栽培の特色について地図や資料を活用する問題だ。また、地図を読み取り表現する力をみる記述問題がある。

 大問4は対外交流を中心とした歴史の出題。奈良時代から近代までの長い範囲を取り上げ、年表を活用して考察し、判断するよう求めている。

 大問5は国民生活と政治・経済を取り上げ、統計などの資料を活用して考察、判断する問題だ。

 大問6は今まで東京に関係する出題が多かったが、人や物の移動を通し、一体化する世界について、地、歴、公の三分野の融合問題としての特色をはっきりさせた。ここでも統計資料を読み取り、総合的に考察し判断する記述問題が出された。

 出題形式はほぼ昨年と同様であるが、資料などを読み取り表現するなど記述問題が増え、また生徒の会話を取り入れた出題から社会的事象を身近にとらえさせようという工夫がみられる。

 ここ数年の傾向から分かることは、日ごろの学習から資料などの読み取りを心がけ、基本的な事象については覚え込むのではなく、しっかりと理解していくことが大切である。

 (渋谷区立広尾中学校・関 基雄教諭)

 ■理科

 大問六題、小問二十題、各五点(うち選択肢十六題、記述四題)で、例年とほぼ同じ形式。ここ数年、選択肢の問題が減り、記述問題が増える傾向にある。内容的には、中学校三年間の学習に即した問題が偏ることなく出題されており、バランスの取れたものとなっている。

 大問1は小問の集合。植物の分類、火成岩の種類、光の反射と屈折、物質の化合と分解など、基礎的・基本的な事象に関する問題。

 大問2も小問の集合。地球の環境にかかわる問題。どの小問も身近な現象について取り上げ、中学生でも無理なく解答できるように工夫されている。大問3は力学台車や記録タイマーを用いた実験に基づき、力と物体の運動についての問題。

 大問4は気体を発生させる実験に基づき、気体の種類や性質および気体の捕集についての実験技能などを問う問題。

 大問5は消化の実験に基づき、食物の消化、吸収および栄養素の利用について問う。大問6は太陽の動きの観察に基づき、太陽の日周運動、地球の運動と季節変化の関係について問う問題。

 全体を通して、基礎的・基本的な事項の知識・理解をみる問題と、単なる知識・理解だけではなく観察、実験の結果から順序だてて結論を導き出すという、科学的に考察する能力をみることに重点が置かれた問題が組み合わされて出題されている。日ごろから観察、実験に意欲的に取り組み、結果を押さえ、考察して、科学的な思考力をいかに培って来たかが問われているといえよう。

 (品川区立日野中学校・山口 晃弘教諭)


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