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【東京】

問題の解説

☆国語

 大問五題、小問二十五題の出題構成は例年どおりである。

 大問1、2はいずれも基本的な漢字の問題だ。ただし、日常であまり使用しない「典雅」の読み、書き誤りやすい「宇宙」については語彙(ごい)力も問われることになる。

 大問3は「僕」とツアー客の男の交流を描いた小説からの出題。表現の特徴や人物の心情、様子などを問う問題が中心である。問5はここ数年出題されている「話す言葉」を書く問題。文章に即して心情をとらえるだけでなく、適切な話し言葉で簡潔に表現する力も要求される。

 大問4の説明的文章は難解な語彙もあるが、論旨がわかりやすく内容は理解しやすい。設問は論理構成や内容理解を問う基本的な問題が中心である。問5は「森林の価値」というテーマについて具体的な体験などを示して意見を発表するもので、自分の考えを表現する力が問われている。

 大問5は万葉集の歌や枕草子の一節を取り上げた文章からの出題だが、文意をとらえる問題や指定語句による短作文の問題、語句の意味を問う問題などがあり、総合的な問題となっている。

 全体としては言語能力を幅広く問う問題になっており、日常的な学習へのしっかりした取り組みが求められる。

 (目黒区立第七中学校 人見誠主幹教諭)

☆数学

 問題構成は、大問が五問、小問十九問で、これはここ最近の傾向であるといえる。

 大問1は各領域に関する基礎的、基本的な事項についての知識や理解と、表現、処理(技能)をみる問題。内容は、正・負の数の計算、文字式、平方根の計算、一次方程式、連立方程式、二次方程式、確率、円、作図の順番で、合計九問が出題された。いずれも基本的な問題である。

 大問2は昨年度と同じように数学的活動の場面をもとに出題されている。条件を変えた問題作りで、数え上げることや文字式による証明である。数学的な見方や考え方のもとで、事象を論理的に考察し処理する力が必要とされる。

 大問3は図形の求積を含む関数の問題である。問1は、関数についての知識、理解をみるとともに、不等号による表現の理解も必要となる。問3は、二つの三角形の面積を文字を使って表し、比例式を使って解く問題である。

 大問4は平面図形に関する問題である。問1、問2(1)は、中学二年生で学習した図形に関する基本的な知識や文字を使って式を表現する力、問2(2)は相似比の考え方が必要である。推論の過程を的確に表現する力も必要である。

 大問5は空間図形に関する問題である。問1は直角三角形の三辺の長さを利用する問題、問2は面積比や相似比などを使って考える問題。図形に対する直観的な見方、考え方に基づいて、見通しをもって論理的に考察し処理する力が求められる。

 (世田谷区立駒沢中学校 草開宣晶主幹教諭)

☆英語

 大問数は昨年と同じ四題で、問題構成も同じである。

 大問1は「聞く力」をみる問題。問題Aは対話文、問題Bは観光バスの中で一日の行程について聞くという設定で、特定の情報を聞き取れているかをみている。英語の質問文を理解した上で情報を聞き取り、解答を英語で書くという複合的な能力が問われている。

 大問2はカタログや友人からのメモをもとに、対話の内容を答える問題と、英字新聞の記事の内容を把握し、自分の考えを英語で書くという複合問題である。書く問題は、まとまりのある英文を読み、自分自身が誰かに助けてもらったことをとりあげ、三つの英文で書く形式で、自身の経験や感想、考えなどを英語で書く力が求められる。

 大問3は対話文の内容が理解できているかをみる問題。代名詞が表す内容や省略されている部分を選択肢で問うたり、対話文の内容に即した英文を読み、空欄部分を選択補充させたりするなど、読解力を必要としている。

 大問4は中学三年生の少年が合唱を通して、クラスメートと素晴らしいハーモニーを奏でるまでの葛藤の物語。内容や展開が読み取れているかをみる問題である。英問英答は答えになる表現を物語の中から見つける力が求められる。

 全体としては、話し手や書き手の意向を理解し、自分の考えを表現するなど、コミュニケーション能力を幅広く問う問題となっている。

 (練馬区立八坂中学校 伊地知可奈主任教諭)

☆理科

 大問六題、小問二十二問からなる構成は例年通りであるが、新学習指導要領に示された思考力、判断力、表現力などを問う工夫が随所に取り入れられている。

 大問1は一年生から三年生にわたる各領域からの出題で、基礎的、基本的な知識や理解を問う問題。大問2は、これまでの生徒と先生の会話文に代わり、生徒が書いたリポートを基に問いに答える形式となった。資料を読み解く、いわゆるPISA型の読解力が求められる。内容も新設の「自然環境の保全と科学技術の利用」につながっていく設問である。新しい出題形式に戸惑った受験生も少なくないであろう。しかし、各単元の基礎的、基本的な知識を活用すれば正答を選択できる。

 大問3は地震の揺れの伝わり方についての基本的な問題。緊急地震速報の資料が示され、実生活との関連を意識した出題。大問4から6は、観察、実験の方法と結果を基に答える問題で、実験装置の組み立て等の技能や考察する力が問われた。大問5では、塩酸とアンモニア水の中和を化学反応式のモデルで表す問題で、あまりなじみのない表現である。大問6は、発熱量を直列回路で比較する問題でやや難易度が高い。

 日ごろから目的意識をもって観察、実験に取り組み、条件を整理して結果を考察し、リポートを作成するなどの探究的な学習が大切である。

(練馬区立豊玉第二中学校 北村比左嘉主幹教諭)

☆社会

 問題構成は例年通りで、大問六題、小問二十題。資料を読み取り考察する論述問題が三題、漢字で書く問題も公民用語から二題出題された。どの分野でも多種多様な資料が提示され、多面的多角的に各資料を活用し、考察し判断し表現する力が求められる内容である。

 大問1は各分野の基礎的知識を問う趣旨であるが、景観写真と地形図を組み合わせた地理の出題は面白い。大問2は世界地理分野で資料活用の問題であるが、日本との時差が出題された。他も世界の各地域を、日本との結び付きにおいて問う問題だった。

 大問3は日本地理分野で、まずは各県の特徴を示す表と県の地図上位置をつなぐ問題、各都道府県の位置と名称は必修。今年は雨温図がなく、地形図の読み取りが出題された。

 大問4は歴史分野で、道具をテーマに工夫した出題。並べ替え問題にも道具の歴史が織り込まれ興味深い。大問5は公民的分野で、政治より経済の内容が多かった。論述は指示がやや曖昧で答えにくい印象。大問6は三分野総合の現代的課題が出題され、良問だがやや難しい。

 全体として今後さらに求められる力の育成を意識した作問で、内容もさまざまな現代的テーマを扱っている。日々の授業づくりにメッセージを与えてくれる入試問題である。

 (板橋区立志村第三中学校 山岡裕基子主任教諭)

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