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【第89回全国高校野球選手権大会(2007)・西東京】

<熱球譜>都小山台 形見のバットで健闘 亡き市川選手とともに最後の夏

2007年7月26日

京華商−都小山台4回裏都小山台1死二塁、佐藤選手の三塁内野安打の時、野手の悪送球で二走三枝選手が生還。捕手高橋健選手=神宮球場で

写真

 昨年六月に港区のエレベーター事故で亡くなった市川大輔選手=当時二年生(16)=が所属していた都小山台。常にベンチには写真と、市川選手が残した黄金色のバットがあった。本来なら三年生で最後の夏となった市川選手への思いを胸に、昨年を上回る5回戦まで進出し、力を出し切った。

 緊迫した試合だった。2点を先制後、追いつかれ、いったんは勝ち越したが逆転を許し、追いかける展開。終盤の八回は無死三塁のピンチを守りきった。九回には攻撃前に円陣を組み、ナインはそろって天をあおいで「市川、見ていてくれ」と誓った。その通り、相手失策と犠打で二死二塁の好機をつくり、勝利への執念を見せた。

 市川選手のバットを握って最後の打者となった滝沢慶彦選手(二年)は「絶対に塁に出ようと思っていた。後輩の自分が終わらせるわけにはいかない、奇跡があると信じて…。申し訳ないです」と泣きじゃくった。

 だが三枝晃広主将(三年)は言った。「後悔はありません。やれることはやった。向こうの実力が上だった。市川も満足してくれたと思う」

 事故について、責任の所在は明確になっていない。製造元のシンドラー社は原因究明に非協力的とされる。福嶋正信監督は「世の中は事故を忘れかけているかもしれないが、解決していない。勝ち進んで、市川の悔しさを訴えたかった」と語りつつ、選手たちの健闘をこうたたえた。「よくやった。イチもよくやった、と言ってくれる」 (原昌志)

 

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