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【第92回全国高校野球選手権大会(2010)・埼玉】

<熱球譜>痛みこらえ執念の投球 高梨雄平投手(川越東3年)

2010年7月28日

仲間に抱えられ、試合終了の整列に向かう高梨雄平投手(右)=県営大宮公園球場で

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 「最後の球は覚えていない」。一年間、「打倒・花咲徳栄」を掲げて戦ってきた川越東の主将でエース、高梨雄平投手(三年)はサヨナラ安打を浴び、マウンドに突っ伏した。

 チームは、昨年の夏、0−8で花咲徳栄にコールド負け。新チームとなってからも、昨秋と今春の県大会でともに7点差で大敗。以来、花咲徳栄を破ることが、チーム全員の目標となった。高梨投手自身、花咲徳栄打線の試合を映像などで見て、打者の苦手なコースの研究を重ねた。

 二十四日の準々決勝。花咲徳栄の勝利を見た後で臨んだ春日部共栄戦。両チームのスコアボードにゼロが並び続けた延長十四回裏、バットを思いきり振った際、左ひざを故障した。チームは勝利したが痛みが残った。それでも次の対戦は、目標の相手。「ギプスをはめられたくない」と、病院に行かなかった。

 この日は同点で迎えた五回から、痛み止めを飲んで登板。痛みはすぐにぶり返したが、「不調を悟られないように」と気丈に振る舞った。

 ただ、バント処理やベースカバーの際、痛そうなそぶりは隠しきれなかった。延長十回、相手打者がバントしそこねたフライを落球。無死満塁のピンチを招き、サヨナラ安打を浴びた。

 わずか1点差。三回の敗戦に比べれば、チームは間違いなく成長した。しかし、「勝てなかったので、今日の試合は一生忘れないと思います」。「善戦」と「勝利」。二つの隔たりは、果てしなく大きかった。 (池田宏之)

 

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