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【第93回全国高校野球選手権大会(2011)・埼玉】

<ヒーロー>地元・福島に届ける決勝打 花咲徳栄3年 長尾駿二塁手

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 鋭い打球が三塁手の頭上を抜けると、大きな歓声が湧き起こった。「野球を続けていてよかった」。五回裏、同点に追いつき、なお1死満塁のチャンスに、花咲徳栄の長尾駿二塁手(三年)は勝ち越し打を放ち、一塁上で喜びを爆発させた。

 長尾選手は福島県郡山市出身。中学まで地元のクラブチームに所属し、野球をやるため花咲徳栄に進んだ。

 三月十一日は練習中に地震に遭った。家族に何度も電話をかけたがつながらず、無事が確認できたのは夜だった。実家は柱や外塀が倒れ、一時は住める状態ではなくなった。

 地元の友人たちも、避難生活で野球ができなくなっていた。「このまま埼玉にいていいのか」。両親に相談すると「こっちは大丈夫。しっかり野球に集中しなさい」と励まされた。「活躍して、恩返ししよう」。迷いは吹っ切れた。

 今大会開幕後、地元からうれしい知らせが届いた。震災後、転校などで部員が減った福島県の高校三校による合同チーム「相双連合」の福島大会初戦。試合には負けたが、小中通じてのチームメート中村公平選手(三年)が本塁打を放った。「自分もやってやろう」。その思いが、大一番での決勝打につながった。

 「決勝まで、なかなか活躍できなかったので、地元の仲間にいい報告ができる」と笑顔を見せ「甲子園では、地元の友達や家族に元気を与えられるようなプレーを連発したい」。夢舞台での活躍を誓った。 (増田紗苗)

 

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