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【第94回全国高校野球選手権大会(2012)・千葉】

<熱球譜>執念の1点「みんなありがとう」 八千代東3年・若松隼人選手

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 「絶対、1点取り返してやる」。先頭打者として迎えた四回裏の攻撃。13点の大量リードを許したが、強い気持ちを忘れずに打席に入った。

 この回から代わったばかりの相手投手を見つめ、2球目を思いっきり振り抜くと、打球は一直線に右中間に。一気に三塁ベースまで走り込んだ。

 「もう後がない。打つしかない」と奮い立った若松選手の執念は、続く4番の星野諒主将にも通じ「絶対、若松をかえそうと打った」という打球はセンターへ。犠飛となり、若松選手はこの試合チーム唯一の得点となったホームを踏んだ。

 地元のシニアチームに所属した中学時代は打撃に自信がなく、打球が外野に飛ばないほどだった。高校に入っても部の練習後、「やらなくちゃ、うまくならない」と自宅マンション前でひたすらバットを振る毎日だった。

 そんな姿を陰ながら見ていてくれた人がいた。マンションの管理人さんだ。野球部OBでもなく、目が合えばあいさつを交わす程度だったが、試合前日の十日、「いつも練習頑張っていたから見に行くよ」と声を掛けてくれた。

 うれしかった。最後の夏に放ったチーム唯一の長打は、両親、仲間、支えてくれた周りの人の思いが乗り移ったように、青空に向かって飛んだ。試合後は泣きじゃくっていたが、最後に「みんなにありがとうと言いたい」と話した時は、涙は少しだけ乾いていた。 (佐々木香理)

 

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