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【第94回全国高校野球選手権大会(2012)・千葉】

<熱球譜>先生が打たせてくれた 君津3年 岡本健選手

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 「何とかして打ちたい」と臨んだ3回目の打席。前の2打席はいずれも邪飛に終わっていた。3点を追う七回2死一塁。6球目まで粘って低めのスライダーを振り抜き、中前まで運んだ。

 捕手を務め、5番を打つ攻守の要。三年生で唯一、気迫で安打を放った。得点にはつながらなかったが、一塁側ベンチからは、四月に五十一歳で急逝した前コーチの高山靖教諭の遺影が、最後の夏の奮闘を見守っていた。終わってみれば味方は15三振を喫したが、「高山先生が、ボールを乗せてくれた」と試合後に七回の一打を振り返った。

 高山教諭が急性心筋梗塞で亡くなったのは、別の高校に異動した直後の四月二日。チームにとっては直前までノックでしごかれ、指導してくれた恩師の突然の訃報だった。

 ショックを引きずり、春の大会も予選で敗れた。だが、二つのショックでようやく、「落ち込んだままじゃいけない」とチームは奮起できたという。

 昨秋から春にかけ、二年生にレギュラーを奪われる三年生も出てチーム内で薄れていた全力で戦う気持ちがまた、戻ってきた。気持ちがプレーに表れ、初戦となった2回戦も3−1で逆転勝ちした。

 この日も試合前、ベンチに飾った高山教諭の遺影に誓った。「きっと見てくれている。絶対勝とう」と。敗れたものの全員、一丸となって戦った。 (佐々木香理)

 

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