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【第94回全国高校野球選手権大会(2012)・千葉】

<ヒーロー>理想のエースに一歩 木更津総合3年 黄本創星投手

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 目の前に「甲子園」の三文字がちらつきだした九回。2死一塁までこぎ着け、最後の打者を迎えると「油断しちゃいけない」と腕で汗をぬぐい、呼吸を整えた。

 最後のボールになったのは得意の直球。高めのボール球だったが、140キロ近い球速に相手のバットはくるりと回った。満面の笑みがこぼれ、無心で青空に力強く、両腕を上げた。

 振り上げた右腕がチームを甲子園に導いた。試合後、「エースは、しんどい時に勝てる投手です」と話した。理想の姿に近づいたのは五回。味方の失策に四球がからみ、この日唯一のピンチとなった満塁を招いた。「このまま崩れたら普通のピッチャーだ」。失策した仲間に向かって両腕で大きな輪をつくり、「大丈夫だ。自分が抑える」とアピールした。強気の直球で押し、切り抜けた。

 二年の時はスランプがあった。新チームで臨んだ昨年秋の大会は、3回戦で松戸国際に負けた。ふがいないピッチングに、仲間から「気持ちが入っていない」と活を入れられた。悔しさをかみしめ、昨冬は砂浜ランニングに自転車20キロなど一日中、死ぬ気で走った。けがの原因だった体重も10キロ減らした。「どこよりも、誰よりも走りました」。苦しさが自信に変わった。

 とうとう甲子園。「しっかり抑えて勝ちたい」。夏の頂点を目指してエースはまだ駆け上る。 (佐々木香理)

 

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