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【政治】

南スーダンPKO 5月末めど撤収へ 政府発表 治安悪化は否定

 政府は十日、国家安全保障会議(NSC)の閣僚会合を開き、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣中の陸上自衛隊の施設部隊を、五月末をめどに撤収させることを決めた。安倍晋三首相は同日夕、記者団に「自衛隊が担当する施設整備は一定の区切りをつけることができる」と説明した。南スーダン派遣は二〇一二年一月の開始から五年あまりで終了する。 

 首都ジュバ周辺の道路や建物を整備するため派遣中の第十一次隊は、一五年に成立した安全保障関連法に基づき、武器使用の範囲を拡大する「駆け付け警護」などの新任務を初めて付与された。

 ジュバ周辺では昨年七月、政府軍と反政府勢力の大規模衝突が発生するなど情勢は不安定で、憲法が禁じる海外での武力行使につながらないよう定めたPKO参加五原則に活動が抵触していないかどうか、たびたび国会で議論となった。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は十日夜の記者会見で「活動終了は治安の悪化を理由とするものではない」と述べた。

 首相は、今後も南スーダンに「平和と発展のためにできる限りの貢献を行う」とし、国連派遣団司令部への要員派遣の継続、人道支援の充実を行うと強調。撤収方針は既に南スーダン政府や国連にも伝えたと明らかにした。

◆遅すぎた判断

 <解説>南スーダンでは、自衛隊がいる首都ジュバを含め全土で大統領派と反大統領派との「戦闘」が続き、隊員の安全確保が懸念されていた。安倍晋三首相の判断は遅すぎたと言わざるを得ない。

 日本は戦後、憲法の平和主義を貫き、一九九二年から参加したPKOでも施設整備など武器を使わない活動に徹してきた。

 安倍政権は、集団的自衛権行使を認めた安全保障関連法に、PKOで「駆け付け警護」や治安維持活動など武器使用前提の任務を盛り込み成立させ、昨年三月に施行した。直後の七月にジュバでは大規模戦闘が発生。戦車やロケット砲なども使われた。官邸筋は「九月から撤収を検討していた」と明かす。

 だが、安倍政権はPKO参加五原則は事実上崩れているとの指摘の中でも撤収を判断せず、十一月には初の安保法適用となる駆け付け警護の任務を付与した。

 安保法に基づく新任務付与という「メンツ」のため派遣を半年間だけ引き延ばしたのではないか、と批判されても不思議ではない。しわ寄せを受けるのは、使命感を持ち、過酷な状況に置かれた派遣隊員や家族。状況は今も予断を許さないだけに、派遣の役目を終えたと判断したら、五月を待たずに早く撤収すべきだ。 (金杉貴雄)

 

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