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【社会】

豊洲百条委21人質疑からわかるのは 安全安心よりも用地確保を優先

 東京都の豊洲市場(江東区)への移転問題を検証する都議会調査特別委員会(百条委員会)は二十日、豊洲移転を決断した石原慎太郎元知事(84)を証人喚問した。これまで四日間にわたる証人二十一人への質疑で浮き彫りになったのは、市場の「安全・安心」よりも、用地確保を優先していた都の交渉姿勢だ。

 石原氏は、豊洲移転に関して「土壌問題は大丈夫だというので、ピラミッドの頂点にいた私が決裁した。その責任は認める」と語った。一方で「都庁全体が誠意、知恵を尽くしてつくった大きな流れに、逆らいようがなかった」とも述べ、既定路線だったとの認識をあらためて示した。

 用地交渉のキーマンとされる浜渦武生(はまうずたけお)元副知事(69)が地権者の東京ガスと行ったとされる「水面下」交渉に関しては、「(浜渦氏に)全権委任し、いちいち詳細に報告は受けていない」と説明するにとどまった。

 石原氏を含め延べ十七時間に及んだ証人喚問で、新事実となる証言はなかったが、水面下交渉を物語る「マル秘」文書の存在が初めて明らかになった。

 十六年前の〇一年七月十八日付の「基本合意にあたっての確認書」。都が百条委に当初提出した資料にはなく、東ガスの資料から見つかったという。「(東ガスは)現処理計画により土壌汚染対策を実施する」と書かれていた。

 つまり、東ガスによる汚染処理は敷地全域ではなく、東ガス側の計画通り範囲を限定することを都が認める内容。その後の都調査で、環境基準の四万三千倍のベンゼンが検出された地点は、東ガスの処理区域外だった。

 「広さや利便性など、移転先の条件を満たすのは豊洲しかなかった。東ガスが売ってくれるかが最大の戦略目標だった」(大矢実・元中央卸売市場長)

 「向こうは売りたくない。こっちは買いたくてしょうがない。複雑な交渉だった」(石原氏)

 この確認書が、一一年三月に結んだ協定で、都が東ガス側の土壌汚染に関する追加負担を免除したベースになったとされる。「(東ガス側の瑕疵(かし)担保責任を放棄しなければ)永遠に合意できないと思った」(岡田至・元市場長)

 結果的に、都が負担する土壌汚染対策費は八百五十八億円に膨らんだ。環境基準の百倍の地下水汚染が見つかり、市場の「安全・安心」が今も問われる事態は、そうした用地交渉の延長線上にある。

 百条委は来月四日に元都幹部三人の証人喚問がある。

(東京新聞)

百条委員会に臨んだ石原慎太郎元都知事=20日午後(池田まみ撮影)

百条委員会に臨んだ石原慎太郎元都知事=20日午後(池田まみ撮影)
 

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