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【社会】

加計獣医学部の認可保留 教育の質問う 

 政府の国家戦略特区制度を活用した学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設で、来年四月の新設を認めるかどうかを審議する文部科学省の大学設置・学校法人審議会(設置審)は二十五日、判断を保留し「審査継続」にした。計画の見直しが必要となり、林芳正文科相への答申は十月下旬以降にずれ込む見通し。

 文科省は「審査が続いている」として理由を明かしていないが、設置審は、学生の実習計画が不十分で、学園側が掲げるライフサイエンス(生命科学)分野の獣医師養成などに課題があると判断したとみられる。

 加計学園は同日、「保留についてコメントは差し控える。認可に向けて粛々と事に当たる」とした。

 特区の選定過程では官邸が関与した疑惑が浮上したが、設置審が判断を保留したことで大学設置基準に照らして計画の内容そのものにも疑義が生じた。「加計ありき」と批判する野党は反発を強めるとみられ、九月下旬にも召集される臨時国会の審議や十月の衆院補選に影響する可能性もある。

 計画を巡っては、新設予定地の愛媛県と今治市が二〇一五年六月に特区での獣医学部新設を国に提案。今年一月、事業者に加計学園が選ばれた。学園は三月に文科相に認可申請し、設置審が審査していた。

◆教員配置、年齢など審査

 「新分野の需要がある」「既存の大学で対応が困難」など特区での新設の四条件をクリアしたと政府が主張する加計学園の獣医学部新設計画だが、文科省の設置審では「教育の質」を問われる形でストップがかかった。学園の計画にはこれまでもさまざまな問題が指摘されており、学園が課題を克服して認可を得られるのか、先行きは不透明だ。

 現在、獣医師養成系の大学は全国で十六あり、定員は計九百三十人。獣医学部はこの半世紀、新設されていないが、加計学園は当初、既存の二割近くに当たる定員百六十人で認可申請し、獣医学関係者から質の低下を懸念する声が出た。

 学園が受験生向けに配布した資料には「合格後、引き続き受験勉強を続け、一般入試でワンランク上の大学にチャレンジすることも可能」と書かれ、野党は「既存の大学以下と自ら認めている」と批判した。

 設置審は、必要な教員が置かれているか、主要な授業科目を専任教授に担当させているか、教員が特定の範囲の年齢に著しく偏ることのないよう配慮されているか−なども審査する。学園関係者によると、予定している教員は七十人ほどだが、新人や高齢の人も多いとされる。

 獣医学部がある十六大学でつくる「全国大学獣医学関係代表者協議会」の稲葉睦(むつみ)会長(北海道大教授)は二十五日、取材に「そもそも国家戦略特区の段階で適正に検討されておらず、四条件は全くクリアされていなかったのではないか」と話した。(土門哲雄、中沢誠)

(東京新聞)

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