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【社会】

SNS あふれる「死にたい」 防止サイトへ 命の橋渡し 

 神奈川県座間市で九人の遺体が見つかった事件で、被害者の多くは会員制交流サイト(SNS)に自殺願望や悩みを書き込んだのをきっかけに、白石隆浩容疑者(27)=殺人容疑で再逮捕=に誘い出されたとされる。事件発覚後もSNS上には「死にたい」「助けて」といった若者らの書き込みがあふれる。こうした若者が犯罪に巻き込まれる前に、支援の手を差し伸べる取り組みをしている団体がある。(原尚子)

 若者の悩み相談などを受けている認定NPO法人「3keys(スリーキーズ)」によると、ツイッターへの「死にたい」などのつぶやきは一日一万件以上。一方、インターネット検索サイト「グーグル」で「死にたい」が検索されたのは過去一年間、一カ月平均で約二十四万回に上る。

 3keysの森山誉恵(たかえ)代表は、事件を受けツイッター社が自殺や自傷行為の扇動などを禁じたことを評価した上で、「現状でSNSの利用を制限すれば、かえって孤立感が高まる可能性がある。まずは若者たちの声をそのまま受け止めることが大切だ」と語る。

 3keysはツイッター社と協力し、昨年七月からツイッター上に「死にたい」などの言葉が書き込まれると、自動的に「Mex(ミークス)」と名付けた支援サイトの窓口が表示されるシステムを始めた。

 窓口を見て「Mex」にアクセスした人を、悩みの種類によって、自殺防止相談やいじめ通報サイトなど約百五十の支援サービスにつなげている。十月は約一万人が同サイトにアクセスし、うち半数がツイッターからだったという。

 一方、NPO法人「OVA(オーヴァ)」はグーグル社と協力。グーグルで「死にたい」と打ち込むと、「死にたくなったあなたへ―話をきかせてください」と呼びかける同団体のサイトの窓口が表示される仕組みを二〇一三年につくった。サイトにアクセスした人と相談員がメールでやりとりしながら、必要に応じて医療機関や行政相談窓口などにつないでいる。

◆書き込む若者 深い孤独感

 事件発覚後も、ツイッターで「#自殺」などの言葉を入力すると、数え切れない書き込みが画面に表示される。「死にたい」と書き込んでいた十六歳の女子高生に、記者が「話を聞かせてほしい」とDM(ダイレクトメッセージ)を送ると、返信があった。女子高生は友人関係などの悩みを誰にも相談できず、孤独な思いを抱えていた。

 女子高生にはすぐに共感を示す多くのメッセージが届き、気持ちが楽になったという。だが、安楽死を勧めるものもあり、「怖くなった」と打ち明けた。

 グーグルと協力して支援に取り組むOVAの伊藤次郎代表は「自殺願望のある若者は『死にたい』と『生きたい』の間で揺れ動いている。精神的に落ち込んでいると危険度を自己認識する機能が落ちる『事故傾性』の状態になり、普段なら会いに行かないような人に会ってしまうこともあり得る」と指摘。「そうなる前に支援につなげ、『助けて』という、宛先のない叫びを受け止められる社会であることが重要だ」と訴えている。

(東京新聞)

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