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【社会】

盲導犬スミレ 働く仲間に 野村総研子会社が社員証発行

 視覚障害のあるあん摩マッサージ指圧師の吉山幸美さん(59)と共に、東京・大手町に通う盲導犬の「スミレ」に、勤務先から社員証が発行された。「犬が嫌い」「アレルギーがある」などの理由で、盲導犬の同伴に難色を示す事業者もある中、吉山さんは勤務先の配慮に「盲導犬であっても会社の一員なんだ、という気持ちが何よりうれしい」と話している。 (石川修巳)

 スミレは黒毛のラブラドルレトリバーで、雌の二歳。吉山さんの「体の一部」として四月から同伴を始めた。他の社員と同様に「スミレ」と名前が印字された社員証には、澄まし顔をした写真も付いている。

 社員証を発行したのは、野村総合研究所の子会社、NRIみらい(本社・横浜市保土ケ谷区)。足立興治社長は「盲導犬はペットではない。一メンバーとして、吉山さんと共に働く意味を込めた」と語る。

 同社では視覚障害や知的障害、精神障害のある社員三十八人が、グループ会社社員へのマッサージや文書の電子化などの業務に就いている。ただ、盲導犬の受け入れは初めて。トイレや食事は? どういうルートでビル内を通行すればいいか…。日本盲導犬協会(東京都渋谷区)や先例のある他社に出向いて相談し、一つずつ解決したという。

 グループ社内でも盲導犬への理解を深めてもらうため、ウェブの社内報でスミレへの社員証発行を紹介したところ、「社員からの『いいね』が断トツの反響だった」という。

 盲導犬の受け入れを巡っては、介助犬や聴導犬を含めた身体障害者補助犬法で、一定規模以上の民間企業に「拒んではならない」と定めている。

 しかし、同協会の山口義之・神奈川訓練センター長は「盲導犬の受け入れに理解のある企業ばかりではない」と説明。盲導犬の同伴を希望しても、職場での関係が悪くなるのではないかと心配して、会社側に強く言えない実態もあるという。

 協会によると、盲導犬は全国にわずか九百四十一頭(三月末現在)。盲導犬に接する機会が少ないため、「とりあえず断ってしまおう」と安易に受け入れを拒否するケースが多いとみている。山口さんは「職場への受け入れに課題があるとしても、『どうすれば受け入れられるか』という相互理解の姿勢があれば、必要な環境はつくっていける」と話している。

(東京新聞)

「NRIみらい」でマッサージ業務を担当する吉山幸美さんの通勤をサポートしている盲導犬のスミレ=東京・大手町で(安江実撮影)

「NRIみらい」でマッサージ業務を担当する吉山幸美さんの通勤をサポートしている盲導犬のスミレ=東京・大手町で(安江実撮影)
 

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