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【社会】

枯れ葉剤被害 走って支援 ベトナム 今も子どもらに障害 さいたまの写真家

 ベトナム戦争で使われた枯れ葉剤の被害を伝え続けている写真家で、元岐阜大教授の中村梧郎(ごろう)さん(77)=さいたま市南区=が今年一月、ベトナム・ホーチミン市で、枯れ葉剤の影響とみられる障害のある子どもらを支援するマラソン大会を初めて開き、成果を上げた。来年も開く予定で、日本からのランナーを募集中。参加費の一部を支援に充てる。中村さんは「息の長い支援をしていきたい」と話す。 (小形佳奈)

 今年の大会には、手足や目が不自由なベトナムの子どもら四十数人が出場。日本からの二十三人と共に、五キロのコースに挑んだ。車いすの子や、伴走者と走った子も。沿道から声援と拍手を浴び、ゴール後には銀色のメダルが贈られた。

 趣旨に賛同したシドニー五輪金メダリストの高橋尚子さん、「ベトちゃんドクちゃん」と呼ばれた結合双生児の弟グエン・ドクさんも参加した。

 大会名は「オレンジマラソン」。米軍内で枯れ葉剤を意味する「オレンジ剤」と、果物が豊富な国という意味を掛けた。現地のイベント会社や元外交官の協力を得て、既存のホーチミンマラソンに合流する形で実現した。

 中村さんによると、枯れ葉剤の影響とみられても、子どもらは社会保障をほとんど受けられていない。「大勢が出場するマラソン大会なら、参加費から少しずつ、多くの支援が集まる。枯れ葉剤の影響が今もあるという現実も、広く知ってもらえる」と大会を発案したという。

 ベトナム戦争中の一九七〇年、カメラマンで現地に入った中村さんは、枯れ葉剤がまかれた地域の助産師から「流産、死産、生まれても手足、眼球がないなどの障害がある子が多い」と聞いた。以来、五十年近く、現地の実態を伝えようと年一、二回訪問し、取材と撮影を続けている。ルポ「新版 母は枯葉剤を浴びた」(岩波現代文庫)などの著書がある。

 現在は、汚染地域と知らずに移り住み、川の魚を食べ、井戸水を飲んだ夫婦から生まれた、両腕のない女児(9つ)を取材している。「孫の代にまで影響が及んでいる。問題を風化させてはならない」と訴える。

 二回目の大会は、来年一月十三日。マラソンツアーの参加者を、十二月七日まで募集している。ツアーは走るだけでなく、中村さんが案内する子どもらの支援施設の見学や、ドクさんとの交流会もある。代金は十八万五千〜二十二万八千円。問い合わせは、富士国際旅行社=電03(3357)3377=へ。

<枯れ葉剤> ベトナム戦争中、米軍が解放戦線ゲリラの拠点があったベトナム南部の密林を枯らすため、1961年から71年にかけて上空から散布した合成化学物質。毒性が強いダイオキシン類が含まれ、人体の内分泌系や遺伝子に影響。浴びたり汚染された魚などを食べたベトナム人にがんや糖尿病、先天的な障害児などの事例が多発した。帰還した米兵にも被害が出た。ベトナム枯葉剤被害者協会によると現在、約20万人の障害児がいる。

(東京新聞)

オレンジマラソンに参加した高橋尚子さん(左)と障害のあるベトナムの子どもら=今年1月、ホーチミン市で(中村梧郎さん提供)

オレンジマラソンに参加した高橋尚子さん(左)と障害のあるベトナムの子どもら=今年1月、ホーチミン市で(中村梧郎さん提供)
 

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