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【政治】

統計不正 看板政策に影 与党からも疑義 アベノミクス成果

 衆参両院の本会議は三十一日、安倍晋三首相の施政方針演説など政府四演説に対する各党代表質問を行った。毎月勤労統計の不正に伴う再集計で、賃金の伸び率が下方修正されたことを巡り、首相は「雇用、所得環境は着実に改善しているとの判断に変更はない」とアベノミクスの成果を重ねて強調した。これに対し、野党に加え、与党からもアベノミクスの成果を疑問視する声が出た。 (清水俊介)

 国民民主党の榛葉賀津也参院幹事長は参院本会議で「アベノミクスが重視する賃金の動向に疑義が生じている」と指摘。自民党の橋本聖子参院議員会長も「賃金上昇率に疑念の声が出ている。今回の不正調査でどのような影響があるのか、政府の見解を示していくことは大切だ」と求めた。

 首相は続く衆院本会議で今回の不正に関し「国内総生産(GDP)に影響がないことが確認されている」と強調。共産党の志位和夫委員長が各種経済指標への影響についてただした。

 首相は、厚生労働省の特別監察委員会に関し「事務局機能も含め、より独立性を高めた形で、さらに厳正に調査を進める」と表明した。公明党の斉藤鉄夫幹事長が、特別監察委の調査報告書について「中立性・客観性に疑義がある」と徹底した追加調査を求めた。

 首相は、基幹統計全体の約四割にあたる二十三統計で誤りが見つかったことを受け、総務省の統計委員会に専門部会を新設する方針に言及し「一般統計についても検証を行ってもらう」と述べた。斉藤氏が、基幹統計の誤りを「言語道断」と批判したことに答えた。

◆野党「うそ次々、モラル崩壊」

 毎月勤労統計の不正調査の影が、安倍政権の看板政策「アベノミクス」に及びつつある。野党六党派は、専門家の試算で二〇一八年の実質賃金の伸び率の大半がマイナスだったのに上昇したように見せかける「アベノミクス偽装」が行われたと批判。安倍政権は賃上げ、消費拡大による「景気の好循環」を誇るが、その成果が足元の「統計」からほころびかねない情勢だ。

 厚生労働省は、野党側が示した試算を受け、一八年の実質賃金が実際にはマイナスになる可能性を認めている。公表済みの一〜十一月のうち対前年同月比プラスは五カ月あったが、野党側の試算ではプラスは一カ月だけで、十一カ月を通じマイナス0・53%だった。厚労省は実質賃金の伸び率を実態に近い形で計算し、来週にも国会に示す方針。

 勤労統計不正と同様のデータ修正や公文書改ざんは昨年一年間に相次いで発覚した。自民党の伊吹文明元衆院議長は三十一日の二階派会合で、一連の問題を列挙し「役人の意識が非常に落ちている。内閣はそこを一番考えなくてはいけない」と述べた。だが、官僚に責任を押し付けて乗り切れるかどうかは不透明だ。

 主要野党はすでに根本匠厚労相の罷免を首相に要求。野党六党派は三十一日、国対委員長らの会談で、賃金が増えたように意図的に装った疑いもあるとの認識で一致。首相の政治責任を問う構えだ。

 共産党の志位和夫委員長は衆院本会議の代表質問で、毎月勤労統計の不正調査を把握していた担当職員が昨年一月から補正処理をひそかに続けていたことに触れ「改ざん、うそが次々と明らかになり大問題になった時期。政治モラルの崩壊が統計不正の温床となった」と批判した。 (大野暢子)

(東京新聞)

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