2004年4月23日

神事の木 ヒサカキ生き残る

枯死した林の中に一本だけ生き残ったヒサカキ=昨年10月8日、三宅島で

 神事の木が島を救う。火山ガスの影響で約六割の森林が枯死・衰弱した東京・三宅島で、神事に使われるヒサカキが生き残っていることが、東京都林業試験場(東京都日の出町)の調査で分かった。都と三宅村はことしから、火山ガスに強いヒサカキなどを中心に、三宅島の緑の復活に本格的に取り組んでいく。

 試験場の亀谷行雄主任研究員(55)が昨年十月、島内八カ所で植生調査をした。スギが木肌を真っ白にさせて枯死している林の中で、濃緑色のだ円形でギザギザの葉をつけた一本の木を見つけた。ヒサカキだった。広葉樹林の中でも、ヒサカキが緑色の葉をたくさんつけ、調査した八カ所すべてで生存していた。

 ヒサカキはもともと島に自生する常緑広葉樹。高さは最高八メートルになる。大気汚染などに抵抗力があり、二酸化硫黄や硫化水素の火山ガスにも耐性があるとされる。

 同じガス耐性があるとされるヤブツバキは、幹から生えた小さな若芽がガスで枯れていた。亀谷さんは、ヒサカキと同じぐらい繁殖していると予想していたが「ヒサカキの方がこんなに強いとは」と驚いたという。

 ことし一月、都と村は島の緑を復活させようと「緑化ガイドライン」を作成。マニュアルでは、ヒサカキやオオバヤシャブシなどガスに強い種類を中心に二十三種類の島の在来種を使うとしている。

 被害に遭った森林二千五百ヘクタールのうち、60%の千五百ヘクタールは再緑化が可能と判断。ことしから十年間で、まず枯れたスギ林の五百ヘクタールに年十五万本ずつ計百五十万本の樹木の苗を植え、緑を復活させる計画だ。

 ヒサカキは、サカキの生えない地方で神事に使われてきた。三宅島では二〇〇〇年九月の全島避難まで、切り葉として出荷していた。石原肇・都三宅支庁産業課長は「緑化対策だけでなく、林産物としても使える」と期待する。

 ヒサカキは、島の産業復興も担うことになりそうだ。

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