10代からの社会保障

<10代が投票すべき5つの理由>(2)雇用

2016年6月6日

石川亮さん(18)

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 好きな仕事をして生活に余裕が持てる給与をもらえれば良いが、現実はなかなかそうはいかない。派遣社員など非正規雇用の二十五〜三十四歳は一九九〇年には全体の一割程度だったが、今や約三割を占めるなど、若者の雇用環境はかつてとは様変わりしている。

 中央大一年の石川亮さん(18)は「ブラック企業に捕まったら最悪。稼げる仕事がいい。安定も大事。稼げる公務員ってないですかね」と問い掛ける。結婚したら絶対に共働きでと考えている。「家事は互いに空いている時間にやればいい。お金があってもできないことはあるけど、あって困ることはない」

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 高卒・大卒者の就職率や有効求人倍率の上昇、失業率の低下など、数字で見ると雇用情勢は改善している。このまま未来は明るくなるのだろうか。

 「正社員の労働環境は悪化している。非正規を正社員にすればいいという政策だけでは、雇用問題は解決できない」。若者の労働問題に詳しい教育社会学者の本田由紀東大教授は指摘する。長時間労働を強いられ、心身を病んでしまう「ブラック企業」の問題も数年前から表面化している。

 貧困問題に取り組むNPO法人「ほっとプラス」代表理事の藤田孝典さんが生活相談を受けている正社員や元正社員は、五年、十年の期間で転職を繰り返している事例も多い。飲食やIT産業など業種はさまざまだ。長期に働かないので賃金は上がっていかない。「企業側は長時間労働を強いた揚げ句、人を使い回している。私たちは周辺的正社員と呼んでいる」

本田由紀・東大教授

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 政治は何をすべきなのか。本田教授は「まず必要なのは企業への罰則を盛り込んだ長時間労働の規制」と指摘する。そのうえで、会社の都合で仕事の内容が際限なく広がっていく今の働き方から、職務の内容などが明確に定められた働き方に可能な部分は変えていく必要があるという。

 今後、少子高齢化と人口減少で十五〜六十四歳の働き手はどんどん減っていく。労働経済学者の安藤至大(むねとも)日大准教授は「せっかく時間とお金を使って育てた若者が長時間労働の末に働けなくなるのは社会的損失だ。規制は企業の経済合理性からも正当化できる」と説く。

 藤田さんは「今の若者にとっては、結婚さえ『ぜいたく』になっている。先輩たちが普通に歩いてきた人生を送れない歴史上でも極めて特殊な世代」と話す。働き方の改善に加え、負担の重い家賃を補助するなど、若者を福祉の対象とすることを求める。

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