10代からの社会保障

<10代が投票すべき5つの理由>(3)保育

2016年6月8日

青木孝文さん(18)

写真

 いま、首都圏で子どもを認可保育所に入れるには、「地獄」とも称される過酷な親の努力と運が必要だ。潜在的な待機児童は数十万人ともいわれる。若い女性が地方から都市部に流入する傾向は続き、現在十代の若者が子どもを持ったときに問題が解消しているかは不透明だ。

 中央大二年の廣野真紀子さん(19)は「彼氏がいないのに子育ての話をするのも…」。それでも漠然と、働きながら三十代に子どもが欲しいと考えている。「保育施設が充実すれば、働き方も変わるのでは」

 一年の青木孝文さん(18)は、テレビでタレントのマツコ・デラックスさんが教育無償化を訴えていたのが印象に残った。「異次元の金融緩和とかやっていたけど、これからは異次元の社会保障に真っ正面から取り組んで」

 × 

 保育から大学までの教育費を無償化するには、どれくらいの費用がかかるのか。京都大の柴田悠(はるか)准教授(38)はマツコさんの発言を受けて「七・三兆〜八・六兆円」と試算し、「マツコ案」として話題を呼んでいる。

 このうち保育については約三・六兆円とはじき出した。二〇一三年時点で潜在的待機児童が八十万人だったと想定。三・六兆円の内訳は、三百万円台の民間認可保育所の保育士の年収を全産業の民間平均の四百八十九万円まで引き上げるための補助をし、数を二・五倍の五十万人に増やすために約一・五兆円。さらに保育料負担分が二・一兆円とした。

 柴田准教授は「保育に投資すれば、女性が働く率が上昇して人材が多様化し、生産性が高まる。公共事業に投じるより経済成長が見込める」と話す。

柴田悠・京大准教授

写真

 松田茂樹中京大教授(46)は、育児休業や幼稚園活用も組み合わせた解決策を提案する。

 ゼロ歳児保育は、施設面積の基準などが一番厳しい。企業が育休を一歳になるまで完全に取得させた場合、保育所利用のゼロ歳児約十万人(一二年の場合)の枠が空き、一歳児以上の約二十万人を受け入れられるという。ただ、これには企業側の理解を促す誘導施策が必要となりそうだ。

 一票を投じる際には財源に注目することも重要になる。柴田准教授は相続税の課税対象の拡大や、年収八百万円以上の世帯の配偶者控除の廃止などを組み合わせた「小規模ミックス財源」を提案する。

 松田教授は今回の消費税増税先送りに強い危機感を抱く。消費税の1%は二兆円の税収となる。「負担のない社会保障は借金が増えるだけ。それを返すのは若い世代。若者が持続的に社会保障を受けるため、国民が広く負担するということに政治が向き合う時期に来ている」

 ※この企画は、中央大学の学生サークル「Vote at Chuo!!」の1、2年生の協力を得て、社会保障や雇用について考えています。

写真

主な政党の公約

新聞購読のご案内