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【1997年9月 渡良瀬有情】

台風の季節

撮影・文 堀内洋助


 台風一過の空に、一瞬の虹が現れることがある。昨年9月22日午後5時半ごろ、台風17号が通過した東京の空に美しく輝いた。「虹を撮ったよ」と5人の読者から電話が鳴った。見事な虹を、朝刊一面で使用した。

 今年8月5日、沖縄の南を台風11号が北上している朝も、二本の大きな虹が懸かった。虹の命は数分間が勝負だ。越谷市でムクドリの群れを取材中だったので、運よく撮影することができた。しかし、残念ながら渡良瀬川では今だ虹を撮らえていない。何故か台風の日は仕事に追われるのである。

 今年は台風の当たり年のようだ。一年間に平均28個の台風が発生するが、もう18個を記録(9月7日現在)。台風の上陸の平年値は2・8回だが、すでに3回上陸した。今月の17日と26日は、統計的に大型台風の来る特異日である。今年こそ、台風がかもしだす美しい虹を撮りたいと思う。

 大きな被害をもたらす台風だが、私は台風のエネルギーに魅了されてしまう。草木ダムにせき止められ水量の少ない渡良瀬川は、この時ばかりにと水煙をあげて竜のように濁流を走らせる。黒保根村の峡谷や大間々の高津戸峡が圧巻だ。荒涼とした松木沢では恐怖を感じる。このような厳しい自然現象は、地球の原風景なのだろうか。

 また渡良瀬遊水地の自然を破壊して作られた古河のゴルフ場は、必ず台風で冠水する。突然現れた“湖”に野鳥は大喜びだ。サギが飛来し魚を追う姿やツバメの群れが水辺で乱舞する姿を目撃する。

 この季節の代表的な花はヒガンバナ。旧谷中村遺跡の共同墓地に秋の彼岸の頃群生する。台風で冠水した赤い花が、水面に咲く姿は神秘的だ。

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