東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 栃木 > 渡良瀬有情 > 1997年度 > 1997年12月

ここから本文

【1997年12月 渡良瀬有情】

冬の訪れ

撮影・文 堀内洋助


 「1本の冬枯れの木に、コチョウゲンボウの雄が5羽も並んでいたよ」と、渡良瀬遊水地の探鳥家・寺内為敏さん(60)から電話をいただいた。私の野鳥の師であり、遊水地の自然を見つめ続けてきた人の声が興奮していた。

 コチョウゲンボウは冬鳥として渡来する小型のハヤブサ類で個体数は少ない。雄は背面が青灰色で腹がオレンジ色で美しい。「関東地方で見られる場所は他にないのでは。夕方に活動し、決まった木に集まってくる」と寺内さんは語っている。

 遊水地は日本では有数のワシタカ類の越冬地である。週末になると、渡良瀬川の新赤麻橋付近に約20人ほどの野鳥愛好家が集まっている。ここは通称”鷹見台”と呼ばれ、ワシタカ類の出現度の高いビューポイント。広大なアシ原を飛翔するチュウヒ、ノスリが必ず目撃できる。一日中いるとハイイロチュウヒ、オオタカ、ハイタカ、チョウゲンボウ、ハヤブサにも出会える。

 猛禽類が舞うアシ原の彼方に富士山を遠望できる日が多くなった。低気圧が通過し西高東低の気圧配置を迎えた朝と夕方が素晴らしい。130キロ離れているが、すそ野までクッキリだ。自然が豊かなアシ原から雪化粧の富士山を望む景色は日本の原風景。いつまでも残しておきたい風景である。

 遊水地の北端にはラクウショウの森がある。この森に今年初めてオオタカが繁殖して大騒ぎになった。いまは落葉して、森の奥まで光が差し込んでいる。太陽の南中高度は今月22日の冬至には31度。夏至のころは78度だった。冬の斜光は風景を美しく表現してくれる。私の大好きな季節を迎えた。

バックナンバー