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【1998年3月 渡良瀬有情】

早春の大地

撮影・文 堀内洋助


 渡良瀬遊水地は、再び川霧の季節を迎えた。ヒバリやホオジロが声高らかにさえずり、キジの鳴く声も響き渡る。晩秋の霧とひと味違う趣で、アシ原が川霧に包まれる。今月末まで。朝の一瞬のドラマを求めて、大勢の写真愛好家が集まる。ビューポイントは遊水池西側の旧谷中村合同慰霊碑前の土手。

 彼岸の入りの18日ごろ、真東の筑波山頂から太陽が昇る。日の出は、午前5時48分。白い竜のように揺れ動く川霧の中からの光景は、神秘的である。

 春を告げる恒例のヨシ焼きが、今月21日(土)午前9時から遊水池で行われる。雨天順延。藤岡町など2市4町で構成する渡良瀬遊水地利用組合連合会が実施。約3300ヘクタールある遊水池のうち約1000ヘクタールが作業対象。

 「ゴー、ゴー」と音を響かせて、真っ赤な炎がまるで生き物のように移動する。空は煙に覆われて、夕方のようになる。快晴の場合、露出は3絞りも落ちるので、必ず三脚を。炎をアップで撮る時、プラス1補正が必要だ。炎が描く一瞬の造形美は素晴らしい。木や人を入れてのフレーミングも面白い。

 残念ながら藤岡町石川の第二貯水池のヨシ焼きの規模は、小さくなりそうだ。先月13日(金)午後に約200ヘクタールのアシ原が炎上した。偶然に目撃したバードウォッチャーによると、産廃を燃やす火(違法行為)が、強い南風に吹かれて飛び火し、瞬く間に北に向かって燃え広がったという。夜まで火は残り、県の消防ヘリコプターが消火活動で上空を旋回した。

 この事件を境に、約30年ぶりに飛来した数百羽のマガンが目撃されなくなった。豊かな自然が残る遊水池に来年も来てくれるように祈るのみだ。

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