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【1998年4月 渡良瀬有情】

絶滅寸前の植物

撮影・文 堀内洋助


 渡良瀬遊水地は春本番。ヨシの新芽は一斉に芽吹き美しい緑のカーペットを作っている。土手には黄色い花のセイヨウカラシナの大群落と、赤い妖艶な花のヒレアザミが咲き誇る。新赤麻橋付近ではレンゲソウの香りに包まれる。植物の生気を感じる季節を迎えた。

 環境庁の「植物版レッドリスト」によると、絶滅が危惧されている植物43種が遊水地で確認されている。小倉洋志栃木県立博物館主任研究員と共に調査を担当した県植物研究会員の大和田真澄さん(48)は、「絶滅危惧植物の宝庫としての遊水地の価値はさらに明確になった。生物多様性保全のために、ここの貴重な自然を保全していくことが望ましい」と話している。

 大和田さんは、「専門の植物を通し、尊敬する田中正造がいた旧谷中村の遊水地にかかわっていきたい」と1985年から植物調査を始め、11年間で667種の標本を作った。

 調査の結果、絶滅寸前とされる「絶滅危惧・A類」のトネハナヤスリは、ヨシ焼きの後、広大な面積に多数の個体が現れるのを確認。「同・B類」のハナムグラと「同・類」のノカラマツやノウルシは、遊水地では広く生息していることも分かった。また、利根川流域の一部地域以外では絶滅寸前とされる「同・B類」のタチスミレ。可憐な青紫の花の「同・類」チョウジソウやミズアオイ。美しい姿の「同・類」マイヅルテンナンショウも確認。

 いま大和田さんは、藤岡町史編さん事業(平成15年完成予定)に協力して藤岡町の植物を調査している。平成12年度には「渡良瀬遊水地の自然」が別冊として刊行される予定である。

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