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【1998年7月 渡良瀬有情】

野鳥の楽園

撮影・文 堀内洋助


 夏の渡良瀬遊水地は、サギ類の群れが水辺を彩る。アオサギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、ゴイサギたちだ。青く澄み渡る空と深緑色のアシ原が映る水面に、白い影が揺れる。特に魅力的な光景は、早朝の川霧と夕日に輝く水辺でサギが乱舞する時だ。美しい一瞬に夏の暑さを忘れさせてくれる。 この時期は、繁殖を終えた親が幼鳥を連れて来るので数が多くなるようだ。親は、子に餌の捕り方を学習させている。とりわけ谷中橋上流の新川は、魚が豊かなため、“野鳥学校”になる。棒杭にカワセミが止まり、ダイビングを繰り返す。ササゴイ、ヨシゴイ、ゴイサギが、じっと立ち止まり獲物を狙う。ダイサギの親がくわえた魚を幼鳥が横取りしようとする。微笑ましい光景が終日見られる。

 今年の異変は、カッコウの渡来の遅れと減少が目立ったことだ。1ケ月程遅かったのではないか。また、托卵相手のヨシキリ類も減少しているようだ。日本野鳥の会栃木県支部の寺内為敏さんは、「例年よりオオヨシキリの飛来が少い。コヨシキリがオオヨシキリのテリトリーに侵入している」と、事態を懸念している。越冬地の東南アジアで異変があったのだろうか。

 里山のタカで知られるサシバは、今年も数個所で営巣した。その巣の一つで、スズメが1メートル上に巣を作り、サシバと共に繁殖をした。猛禽類のサシバがスズメの天敵であるカラスやヘビからヒナを守ってくれるからだろうか。自然界の興味ある現象に出会い感動した。年間約200種の野鳥が訪れる遊水地では、壮大な自然のドラマがいつも展開されている。

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