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【1998年9月 渡良瀬有情】

秋の日

撮影・文 堀内洋助


 渡良瀬遊水地のアシ原は、ヨシとオギとススキの白い穂が一面に広がり始めた。秋雨前線と台風が通過するごとに、秋の気配が深まっていく。

 野鳥が大群でアシ原を飛翔するのは、秋の風物詩だ。ツバメやムクドリやスズメが“集団ねぐら”を作り、数千羽の大群になる。夏鳥として北海道で繁殖したショウドウツバメが、毎年9月上旬の一週間程、東南アジアに渡る途中に立ち寄る。数百羽を越える群れが、朝夕に飛翔する姿は素晴らしい。見慣れたスズメも群れになると、魅力的な別の生き物のように思えてくる。

 今月15日に「ツバメのねぐら観察会」が日本野鳥の会栃木県支部主催で行われる。午後4時に藤岡町の遊水池会館駐車場集合。東武日光線藤岡駅下車15分。7時解散。参加費200円。夕暮れの橋に立つとツバメの群れが、すぐ目の前を次々に飛び交い、アシの中に入っていく。魅力的な光景だ。

 ムクドリが数千羽の集団で、日の出と日の入りの空に乱舞する姿は壮観だ。必ず日の出の数分前に、一斉にねぐらを飛び立つ。「リャー、リャー」の喧しい声が止まり、一瞬の静寂の後、「ゴー」と羽音を轟かして大群が一団で朝焼けの空に現われる。日の入り直後には、ねぐらの上空で乱舞を繰り返す。

 また秋の空を映す水辺に、ミズアオイの青紫色の美しい花が、ひっそりと群生して咲く光景に偶然出会うことがある。環境庁のレッドリストで絶滅危惧・類に指定された貴重な植物だ。何故か、毎年同じ場所には出現しない。

 野鳥の大群とミズアオイを求めて、秋の日に遊水地を歩くのは楽しい。川霧やいわし雲・さば雲の巻積雲が、現われる時もあり、自然を謳歌させてくれる。

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