東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 栃木 > 渡良瀬有情 > 1998年度 > 1998年12月

ここから本文

【1998年12月 渡良瀬有情】

冬のアシ原

撮影・文 堀内洋助


 冬の渡良瀬遊水地は、自然の営みの魅力的な一瞬に出会う事が多い。太陽の南中高度は、31度。斜光線が風景を終日美しく描き出している。

 今年もタカ類の珍しいハイイロチュウヒが渡来した。雄2羽、雌4羽を確認。昼間はアシ原の中で休息し、夕方に姿を見せる。旧谷中村の屋敷林が望めるアシ原が、ねぐらになり、入る前に何回も超低空で飛翔する。

 特にハイイロチュウヒの雄は、上面が灰色で下面が白くて美しい。雌は上面が褐色。野鳥愛好家に大人気で、休日は数十人がカメラの放列を作る。人間に憶する風でもなく、翼をV字型に保ち、堂々と飛ぶ姿は、たくましい。今月から冬の風物詩のヨシ刈りが、始まった。来年3月まで。残念なことに、ここのねぐら周辺も、間もなく刈られていく。

 ワシタカ類の上空を、熱気球やパラシュ−トが、浮かぶ。休日の遊水地はスカイスポ−ツのメッカ。熱気球は気流の安定した早朝に、20個程が漂う。ヨシ刈りで空間ができる冬場がシ−ズンだ。スカイダイビングは渡良瀬川河川敷の滑空場からセスナ機で上がり、運動公園に舞い降りる。週末にはスク−ルが開かれる。色とりどりの巨大な物体に鳥たちは、びっくりだ。

 渡良瀬遊水地を撮影して8年間が過ぎた。谷中湖とゴルフ場の完成でアシ原は減少。近年、釣りやサイクリングやウィンドサ−フィン等のレジャ−人口が増加。不法投棄のゴミが多くなった。必然的に車も増えた。

 このように人間の営みが押し寄せる中で、チュウヒ類は越冬している。アシ原が、豊かな自然環境を創造するからだろう。足尾鉱毒の沈殿地として生まれた遊水地だが、90年の歳月が自然を蘇らせた。21世紀に残したい風景である。

バックナンバー