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【1999年3月 渡良瀬有情】

春の息吹

撮影・文 堀内洋助


 渡良瀬遊水地をエコミュージアム(自然博物館)にする計画を提案した、市民団体「渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会」(高松健比古代表世話人)が先月11日、藤岡町遊水池会館で、意見交換会を開催した。

 計画によると、遊水地の自然を守り続けるとともに、湿地の再生をめざし、自然環境と歴史を学ぶ場を提供し、町おこしを計ることを目的とした。

 具体的には、建設省がダム建設を計画している第二調節池をサンクチュアリとする。湿地に干潟や沼を復元し、より豊かな自然のあった昭和30年代の原風景を再現する。観察路や観察水路を設けて、自然を楽しめるようにするが、範囲と人数を限定する。湿地保全センターを設置し、野鳥・植物等の情報提供や遊水地の歴史展示や運営と企画などの活動をする。

 計画に対して、住民協議会の猿山弘子さんは「自然に手を加えることは本来できないと、悩みました。だが、ヨシ原の環境を守りたいとの願いがこのプランを作らせました。第2ダム建設計画は中断であり、中止ではないのです。自然を守り続けることが可能な将来像を提示し、運動を展開することが必要です」と、訴えた。地元の小学校の教師は「実現したら子供たちに見せたい」と話したが、「大勢の来訪者が来ると自然を壊してしまう」「人の姿を鳥の目から見えないように工夫する」などの声も出た。

 会の終りに、早春のぼたん雪が降り出し、渡良瀬川研究会の布川了さんは田中正造の短歌「降る雪よ止みかたなくば積もれかし 我は踏みたてけたて行かなん」を紹介した。足尾鉱毒の沈殿地として生まれた遊水地。豊かな自然が奇跡的に残されたアシ原は、20世紀の財産として守り続けたいと思う。

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