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【1999年6月 渡良瀬有情】

美しい梅雨

撮影・文 堀内洋助


 梅雨の季節を迎えた。雨は美しい情景をかもしだす。この日本特有の季節感を私は好む。山河の霧と雲、ヨシの葉の水滴、雨の波紋、川の濁流、遊水地の増水、雨に濡れる植物などに心を動かされる。梅雨晴も感動的だ。空梅雨でないことを祈る。そして、今年こそ梅雨明けの雷(梅雨雷)を撮りたい。

 先月、渡良瀬川の花輪で素晴らしい夕霧に出会った。草木ダムの放流で増水した川に、雨が止んで冷え込み、霧が発生。日没後の薄明に、青みを帯びた霧が幽幻な世界を見せてくれた。この日、足尾を撮影したが、手応えが無くて重い足取りでの帰宅途中だった。焦燥感も消え、霧が見え無くなるまでシャッターを押し続けた。いつも決定的瞬間は予期せぬほど面白い。

 毎年今月下旬、遊水地周辺で一斉に羽化したアキアカネが大群で飛翔する。雨の日は、ヨシの葉にじっと止まり続ける。それらの姿は魅力的だ。今は橙褐色だが、足尾山塊で夏を過ごし、赤とんぼになって遊水地に戻ってくる。渡良瀬川の下流と上流を往復する素敵な生き物だ。

 ところで『渡良瀬遊水地自然図鑑〜植物編〜』のCD−ROMがこの春に、建設省利根川上流工事事務所から発行された。環境庁の植物版レッドリストの絶滅が危惧されている植物43種を含む667種を網羅した貴重な記録集だ。遊水地を14年間植物調査をしている栃木県植物研究会の大和田真澄さんが監修した。同事務所副所長の白井勝二さんも熱心に協力。約200部作成し、遊水地周辺2市4町の小・中・高校と図書館に配布された。「反響があれば一般向けに増刷したい」と話している。

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