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【1999年7月 渡良瀬有情】

野鳥の森

撮影・文 堀内洋助


 渡良瀬遊水地近くの広場の木から今月上旬、繁殖したツミのひな4羽が若鷹に成長し無事巣立っていった。観察を続けた日本野鳥の会栃木県支部の寺内為敏さんは「この周辺では極めて珍しい」と話す。

 ツミはハイタカ属3種のオオタカやハイタカの仲間で、非常に気品のある森林性のタカだ。雄27センチ、雌30センチとハト程の大きさ。山地に生息するとされていたが、十数年前から都心の公園や市街地でも繁殖が確認されてきた。

 寺内さんは5月中旬、「キョ−キョキョキョ」と甲高い珍しい声を聞いた。モミの木の高さ約5メートルでツミの営巣を確認。住宅地の中で、真下を犬を連れ散歩する人や子供たちが遊ぶ。「人の多い街に猛きん類が」と驚いたという。さらに珍しい事に、巣の1メートル下にカワラヒワ、オナガが数カ所、シラコバト、キジバトがこの“小さな森”で同時に繁殖していた。

 野鳥の姿を追っていると、様々な樹木や森との出会いがある。サシバの交尾を見たのはラクウショウ。ササゴイの営巣はタチヤナギ。そしてツミは、ケヤキとポプラとメタセコイア。木を見ていると心が和んで、疲れた体をいやしてくれる。渡良瀬川の自然を旅する私にとって、野鳥と森の世界は、ライフワークになった。

 ◇

 「足尾の一丸旅館が全焼」の悲しいニュースがあった。今月2日午後11時30分ごろ、足尾町松原の菓子店から出火し、隣接する一丸旅館など8棟が全半焼。消火の時、消防団員2人が軽いけがをした。

 女将の木村まつよさん(80)は、「皆さんから頂いた思い出の品が無くなった事が辛い。また新しい事業を始めようかしら」と悲しみを耐えていたが、思ったより元気だった。深くお見舞いを申し上げます。

 一丸旅館は通洞駅前の町の中心部にあり、明治末の開業で、足尾銅山の繁栄と共に育った。古河鉱業関係者や政財界や芸能人など多数の人が宿泊。閉山後は女将の人柄を慕って訪れる客が多かった。

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