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【1999年9月 渡良瀬有情】

秋の訪れ

撮影・文 堀内洋助


 秋の澄んだ大気が、身にしむ季節を迎えた。渡良瀬遊水地で、きらめく星や月を見ながら一夜を明かすのが好きだ。宇宙と会話しているかのようで、都会のストレスが発散する。特に、アシに囲まれた大池は無風の日、星が水面に映って感動的。運が良いと、朝霧に遭遇したりする。

 夏の夜明け前、東の空に現れて、はかなく消えたオリオン座が、いま夜半過ぎから見えるようになった。また、陰暦8月15日の24日は中秋の名月。午後5時10分が月の出で、同36分が日の入り。渡良瀬川の新赤麻橋に立つと東西のドラマを遠望できる。なお満月は翌日25日なので注意したい。

 20日の彼岸の頃、真東の筑波山々頂から太陽が昇る。9月は日の出の方位が東の北10度から南3度へ、毎日、太陽の直径分移動して行く。20日の日の出時刻は5時27分。カメラマン仲間の合い言葉は、“早起きは三枚の徳”。美しい朝焼けと川霧が出るのを期待したい。

 秋の夕暮れは、数万羽のツバメが一斉にねぐら入りするシーンを観察できる。東南アジアに戻るツバメ類が、アシ原に集結しているのだ。今年も日本野鳥の会栃木県支部が15日、観察会を開く。午後5時、藤岡町の遊水池会館駐車場に集合。東武日光線藤岡駅から徒歩15分。7時解散。懐中電灯を持参のこと。

 92年前に谷中村が強制破壊され、足尾鉱毒の沈殿地として生まれた遊水地。現在、広大なアシ原が自然界の“駆け込み寺”として豊かな自然を創造している。秋の色を訪ねて、散策したい。辛酸と荒廃の歴史を伝える屋敷林が、人間の愚かな行為を見守り続けているかのようだ。

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