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【1999年12月 渡良瀬有情】

冬の言葉

撮影・文 堀内洋助


 珍しいハイイロチュウヒの雄が、今年もシベリアから越冬のため、渡良瀬遊水地に渡来。夕方のねぐら入り前に、数分間も周辺を低空飛翔し、真近で観察できる。土日は、谷中湖北側のアシ原の道に数十人の野鳥愛好家が集まり、その前を悠然と旋回。運が良いと夕日にギラリと輝くが、日没後の薄明になることも多い。数は雄1羽、雌2羽だが、例年通りなら雄2羽、雌4羽が冬本番には見られる。

 先月7日、遊水地で大きな出来事があった。遊水地の自然保護と治水・利水について考えようと、渡良瀬遊水地シンポジウム(建設省利根川上流工事事務所主催)が、同遊水地に特設テントを造り開催され、住民約250人が参加。学識経験者らで作る「渡良瀬遊水地の自然保全と自然を生かした利用に関する懇談会」の討議内容を受けて、活発な意見が交わされた。

 基調講演で高松健比古・県自然保護団体連絡協議会代表は「第二貯水池計画は時代遅れで建設省は見直すべきだ。エコミュ−ジアムを作り、世界ヨシ原サミットを呼び掛けたい」と湿地の保護を訴えた。坂之井和之・同工事事務所所長は「治水、利水、環境の折り合いを付けて、将来の方針を出していく時期では」と述べた。住民からは「第二貯水池より山に緑のダムを作ってほしい」「自然学習の場に」「野鳥の生息環境を守る施設を作って」など自然環境保全の声が多かった。

 1910年に日本最大の遊水地として作られ、来年は90年目を迎える。悲しい歴史の上に、貴重な自然が奇跡的に残された。建設省は1997年2月、水質や環境保全らを理由に第二貯水池建設計画の中断を発表。この英断を21世紀も守り続けてほしいと思う。

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