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【2000年5月 渡良瀬有情】

新緑の輝き

撮影・文 堀内洋助


 いま渡良瀬遊水地は、一年で一番美しい季節だ。緑のじゅうたんのようなアシ原に点在する新緑の木立と水辺を見ると実に心地よい。薫風に吹かれて、野鳥のさえずりを聞きながら湿地を歩くと、ストレスも解消する。

 私が遊水地を撮影し始めてから10年目の初夏を迎えた。この間に行楽客が大変増えたと思う。谷中湖のウインドサ−フィン、運動公園のスカイダイビング、熱気球の愛好者、バ−ベキュ−の家族連れ、釣り人、写真愛好家らの姿が目立つ。豊かな自然環境が広く知られるようになったからだろうか。

 このような人の増加と共に、自然環境を脅かす問題が起こりだした。カメラマニアが野鳥の巣の撮影のために枝を切り、木が枯れてしまったこと。絶滅危惧・類のチョウジソウ大群落が盗掘され、釣り人がごみをポイ捨て。マナ−違反の自然愛好家が増えたように思う。

 遊水地の野鳥観察を長年続ける寺内為敏さんは「転勤シ−ズンになると家庭用品のごみが捨てられる」と嘆く。産業廃棄物も目立つようになった。新緑の輝きの中で、ごみの山を見ると怒りより悲しみがわいてくる。

 だが、ここを脅かしている最大の問題は、第二ダム建設計画。三年前に住民団体「渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会」の運動で計画は中断された。しかし、今年、建設を検討するダム審議委員会が再会される動きもあるという。

 遊水地の自然保全と再生について「渡良瀬遊水池シンポジウム」が同住民協議会らの主催で、5月28日午後12時30分から藤岡町遊水池会館で行われる。東武日光線藤岡駅から徒歩15分だ。専門家、行政、住民らが遊水地の将来像を議論する。関心のある方は参加してほしいと思う。

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