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【2001年1月 渡良瀬有情】

21世紀へ

撮影・文 堀内洋助


 21世紀の初日の出を午前6時55分、渡良瀬遊水地で迎えた。まぶしい太陽が昇り、アシの穂が朱色に輝き、上空をチュウヒが舞った。いい一瞬だったが、彼方にはアシ原を焼失した黒い湿地帯が異様な姿を見せていた。

 昨年12月19日夕、渡良瀬カントリ−クラブのゴルフ場付近のアシ原から火災が発生。強い北風にあおられて谷中湖の東まで第一調整池の五分の一、約300ヘクタールが焼失した。ヨシ刈りの最盛期でもあり、よしず生産業者は大きな被害を被った。また、アシ原の中で眠るワシタカ類のチュウヒのねぐらが焼かれた。チュウヒは残ったアシ原に移動したのだろうか。

 「ハイイロチュウヒの雄のねぐらがいつもの場所で使われだした」と野鳥愛好家の仲間から連絡があった。被害を免れたゴルフ場の南のアシ原に、「火災後、約一週間来ていた」とのことだが、私が訪れた正月の3日間は上空を通過するだけ。ここでは、チュウヒが4ヶ所のアシ原に入るのが目撃された。多分、ねぐらだろう。チュウヒは環境省のレッドリストの絶滅危惧・類に指定され、遊水地を代表する貴重なタカだ。

 「渡良瀬遊水池シンポジウム−21世紀へ・Part・」が今月27日午後1時から5時まで、藤岡町遊水池会館(東武日光線藤岡駅徒歩15分)で開かれる。市民グル−プ「渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会」など三団体が「遊水池の未来を語ろう」をテ−マに専門家を交えて、動植物の聖地にしようというエコミュ−ジアム・プランやコウノトリの復帰計画や国土交通省の提言する将来像などの提案について話し合う。

 20世紀初頭に足尾鉱毒沈殿地として生まれた遊水地。80年代からは谷中湖やゴルフ場や第二ダム建設計画などの開発にさらされてきた。辛酸と荒廃の20世紀だったが、日本屈指の豊かな湿地が残された。21世紀はこの素晴らしい自然環境を人類共有の財産として守り続けてほしいと思う。

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