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【2001年5月 渡良瀬有情】

足尾の植樹

撮影・文 堀内洋助


 煙害で荒廃した足尾の山に緑を蘇らせる活動をする市民ボランティア団体「足尾に緑を育てる会」(神山英昭代表)は先月22日、足尾町大畑沢緑の砂防ゾ−ンで六回目の植樹会を行った。作家の立松和平さんらボランティア約600人が参加。荒涼とした急峻な斜面に、ミズナラ、ヒメヤシャブシ、レンゲツツジ、ニセアカシアなどの苗木約2500本を植樹した。

 本紙を見て参加した宇都宮市の植木良子さん(53)は「足尾がどんなに変わったか興味があった。30年前に訪れた時は、緑がこんなになかった」と感慨深げだった。自宅の庭のツバキ20本やコブシやコナラの苗木を山に緑が復活するよう願いを込めて植えていた。

 今回初めて、渡良瀬遊水地からヨシが運び込まれ、市民団体「わたらせ未来基金」の飯島博さんや猿山弘子さんらが、苗木の周りに敷いていた。保温と乾燥防止に役立つという。足尾鉱毒を沈殿するため造られた遊水地で育ったヨシが緑化事業に活用されたのだ。画期的な出来事であった。

 国土交通省渡良瀬川工事事務所は、下流の館林や佐野市の河川敷で育った草を刈り取り、堆肥化して、2トン車で2台分を足尾に運び、苗木の肥料とした。昨年までは野焼きにしていた草だという。

 市民ボランティアが緑の再生に挑戦して6年目。荒廃した山に緑をよみがえらす運動の輪は広りだした。昨年度は環境学習で訪れた小中学生など32団体が体験植樹で、苗木約2000本を植えた。足尾の山は自然保護や人間と自然との共生の問題を考えさせてくれる。

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