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【2001年6月 渡良瀬有情】

絶滅危惧種エキサイゼリ

撮影・文 堀内洋助


 気象庁が今月6日、関東地方が梅雨入りしたとみられる、と発表した。平年より2日早く、昨年より3日早い。平年の梅雨明けは来月20日ごろ。約40日間余り続き、年間の五分の一の雨量が降るという。

 梅雨入り前、渡良瀬遊水地の植物を16年間研究している栃木県植物研究会の大和田真澄さん(51)と、アシ原を歩いた。貴重なサクラソウの自生地を案内してもらってから、2年ぶりの再会。大和田さんは、遊水地で667種の標本を作成し、44種の絶滅危惧種を見つけた。「湿地の植物が埋め立てで全国的に消えているが、ここではたくさん残っている。最後の楽園ではないか。ものが言えない植物の代わりに発言していきたい」と語っている。

 今回の目的はセリ科のエキサイゼリ。日本固有属で1属1種であり、環境省のレッドリストでは、絶滅危惧・B類にランクされる。大和田さんは「世界的にも貴重。ここでなくなれば世界から消えてしまう」と話す。エキサイゼリは、第2調節池のアシ原の道端で直径2ミリ程の白い花を多数付けて群生していた。高さは20〜30センチ程。アリと小さなハチがみつを吸いに訪れた。また「ヨシ焼きがこの植物を残している」という。周辺には、ハナムグラ、ノカラマツ、チョウジソウも咲き、まるで絶滅危惧種の博物館のようだ。

 梅雨は植物や生き物に大きな恵みを与えている。遊水地のような湿地の景観は、雨の恩恵で水のある風景を作り、心をいやしてくれる。絶滅危惧種のエキサイゼリの可憐な白い花は、来年の初夏まで眠りについた。世界中で遊水地だけに見られるという貴重な植物。湿地を守ることの大切さを小さな花が訴えているようだった。

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