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【2001年7月 渡良瀬有情】

雷の季節

撮影・文 堀内洋助


 今月に入り、梅雨晴れの厳しい暑さが続いた。まるで梅雨が明けたような真夏の青空が広がった。最も早い梅雨明けは、1978年7月4日だったという。記録の更新はならなかったが、今年は早そうだ。

 夏の渡良瀬遊水地は、いつも早朝と夕方に撮影することが多い。猛暑の翌朝、川霧に出合うと、一日がとても気持ちいい。炎天下の昼間は、木陰に車を止めて昼寝で過ごす。アシ原に吹く風はここちいい。木陰が天然のク−ラ−と実感する。思わず寝過ごして、積乱雲の雄大な光景に驚くこともある。昨年の夕方、足尾山塊の上空にモクモクと積乱雲が上昇していた。しばらくして、薄明の雲の中から稲妻が走り、ゴロゴロという雷の音が聞こえ始めた。雷雲はしだいに遊水地に向かってきた。落雷と共にたくさんの稲妻が空を駆け巡る。横に走るものが多い。不気味な美しさだった。カメラを持つと、怖いという思いが消えるから不思議だ。アシ原と雷の写真は、長年思い描いていた光景であった。

 6年前、遊水地に家族でキャンプをした。2人の子供はまだ小学生だった。テントの設営が終わると急に雷雲に覆われた。雷鳴がとどろき、稲妻が目の前を次々に走った。撮りたいという衝動を抑え、家族と共に車の中に避難した。子供が震えていた。握り締めたカメラを外に向けることはできなかった。今年も雷の季節が来た。湿地の水辺に映る雷を撮りたいと思う。もう撮影場所は決めてある。決して無理はしないが、条件が整えば、チャレンジしたい。その一枚は、絞りF8で、露光時間10分だ。

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